【番記者通信】正念場の3月、気になるあの人の去就|アーセナル

2014年03月13日 ジェレミー・ウィルソン

勝ちと負けを交互に繰り返す不安定な戦いぶりでは…。

首位から陥落し、ここにきて息切れ気味のアーセナル。無冠に終われば、ヴェンゲルもいよいよ退団の決断を下すか。 (C) Getty Images

 公式戦6試合で3勝1分け2敗と厳しい戦いが続いた2月が終わり、3月に入っても息切れ気味の状態を断ち切れていない。

 1日のストーク戦でまさかの黒星を喫すると、チャンピオンズ・リーグ決勝トーナメント1回戦でバイエルンに完敗した(2試合合計1-3で敗退)。FAカップはエバートンを退け準決勝に勝ち上がったとはいえ、勝ちと負けを交互に繰り返す不安定な戦いぶりでは、「持続力」が鍵を握る国内リーグで頂点に立つのは難しいだろう。

 リバプールに1-5で大敗して首位から陥落し、チェルシーとそのリバプールを追いかける立場に転じているアーセナルにとって、3月はまさに正念場だ。トッテナム(16日)、チェルシー(22日)、マンチェスター・C(29日)と続く強豪クラブとの連戦で大きく躓くようだと、念願のプレミア制覇はまたも夢と散るはずだ。

 さらに、私が気を揉んでいるのは、アーセン・ヴェンゲル監督の去就である。ヴェンゲルの契約は今シーズン終了時まで。本稿執筆時点で、フランス人指揮官は契約延長に合意していない。クラブの筆頭株主である米国人富豪のスタン・クロンキーは再契約に自信があるようだが、ヴェンゲル自身の考えがいまひとつはっきりと見えてこないのだ。

 私の考えでは、無冠がつづき苛立ちを溜め込んでいるサポーターの反応を、ヴェンゲルは少なからず気に留めているのではないか。今シーズンも無冠に終わりファンの怒りが頂点に達すれば、指揮官も18年にわたり率いたアーセナルから去る決断を下すかもしれない。

 ヴェンゲルの続投を確かなものにするためにも、準決勝まで勝ち進んだFAカップ、もしくは3位につけるプレミアリーグで頂点に立つタイトル獲得が必要だ。

【記者】
Jeremy WILSON|Daily Telegraph
ジェレミー・ウィルソン/デイリー・テレグラフ
英高級紙『デイリー・テレグラフ』でロンドン地域を担当し、アーセナルに精通。チェルシーとイングランド代表も追いかけるやり手で、『サンデー・タイムズ』紙や『ガーディアン』紙にも寄稿する。

【翻訳】
田嶋康輔
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