前代未聞の交代拒否騒動はなぜ起きた? その“真実”をケパとサッリが語る「我々には大きな誤解があった」

2019年02月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

前代未聞のシーンはなぜ起きたのか?

指揮官の指示を拒否し、交代を拒んだケパ(右)へは、英メディアから批判の声が殺到した。 (C) Getty Images

 選手が指揮官の交代指示を拒否した。前代未聞のシーンだった。

 現地時間2月24日、カラバオカップ決勝がイングランドの"聖地"ウェンブリー・スタジアムで行なわれ、マンチェスター・シティがスコアレドローの末のPK戦でチェルシーを撃破。大会連覇を成し遂げた。

 両軍が死力を尽くし、スコアレスながらハイレベルな戦いが繰り広げられたなか、物議を醸したのは、チェルシーの守護神ケパ・アリサバラガと指揮官マウリツィオ・サッリの間で交わされたやり取りだった。

 118分が過ぎた時だ。相手FWセルヒオ・アグエロのシュートをセーブした際に足を痛めて治療を受けたケパは、控えGKウィリー・カバジェロとの交代を指示されるも、これを頑なに拒否。このまさかの反応にサッリも怒りを抑えきれず、ロッカールームへ引き返そうとしたところを自軍の選手やコーチになだめられる騒ぎとなった。

 その後に迎えたPK戦でケパは、シティの3人目レロイ・ザネのキックを横っ飛びでセーブするなど堂々たるプレーを披露。だが、チェルシーが勝てなかったこともあり、辛辣な英国メディアは、ケパの交代拒否を「チームに対する造反行為」とし、試合後、一斉にスペイン代表GKを責め立てた。

 メディアだけでなく、識者たちもケパの行動を非難。なかでも、元チェルシーのクリス・サットンは怒っていた。自身が解説を務めていた英公共放送「BBC」のラジオ中継において、次のような言葉を浴びせている。
 
「ケパはチェルシーで2度とプレーすべきではない。今日が彼にとってチェルシーのユニホームを着た最後のパフォーマンスであるべきだ。私はこんなシーンを見たことがない。もし私がサッリだったら、帰っていただろう。名誉を傷つけることはできない。なぜケパは交代しなかったのか? 今、チームから去るべきはケパだ。サッリではない」

 過激さを増すメディアの報道とは裏腹に、当の本人たちは「誤解があった」と淡々と真実を述べている。試合後の会見においてサッリは、「私が問題を勘違いしていた」と弁明した。

「ああいう状況で大きな誤解があったんだよ。メディカルスタッフがベンチに戻るまでの数分間、私は事態をよく分かっていなかった。私はGKがけいれんを起こしたと思い、PK戦は無理だと考えたが、けいれんは起こしておらず彼は最後までプレーできる状態だった。

 ケパは『大丈夫だ』と我々に伝えていただけなんだ。ただ、伝え方がまずかったね。その点を理解してもらいたいから、彼とは話し合うよ。こういう誤解が生じるとトラブルになりがちだ。特にメディアの人たちとはね。何の問題もないと言わせて欲しい」

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