開幕戦は無得点も…浦和に生まれつつある変化。オリヴェイラ構想の実現度はいかほどか?

2019年02月25日 轡田哲朗

青木とは異なる特性を持つエヴェルトン。本来はアンカーの選手ではないが…

浦和移籍後、いまだ公式戦ではノーゴールの杉本。チームもいまだ本調子ではないようだ。写真:早草紀子

 浦和レッズは23日のリーグ開幕ベガルタ仙台戦を0-0で引き分けた。かつては"鬼門"と呼ばれたこともあるユアテックスタジアム仙台での引き分けは、結果を見ればそう悪いスタートではないと言えるのだろう。昨季に天皇杯を勝ち取り、今季は13シーズンぶりのリーグ優勝と2シーズンぶりのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の同時制覇を目論むチームには、どのような変化が生まれてくるのか。
 
 オズワルド・オリヴェイラ監督はシーズンの始動日に4バック導入について「可能性はある」としたものの、沖縄県で2回にわたって行なわれたキャンプでも一貫して昨季に続く3バックで準備を進めた。オリヴェイラ監督がパターンを仕込むのはセットプレーの比重が高い。システムも変わらずにスタートするとなると、流れの中での変化は選手の入れ替わりと特性の変化に依存しやすいものになる。
 
 昨季不動のアンカーを務めてきた青木拓矢が負傷で出遅れていることもあり、そこには新外国人選手のブラジル人MFエヴェルトンが配された。足もとの技術には確かなものがあり、相手と50-50のボールを奪い合う場面での駆け引きも巧みだ。この仙台戦でも、ハモン・ロペスと対峙してドリブルのコースを誘導し、からめとるようにボールを奪った場面や、石原直樹とセカンドボールの争いになり、強く寄せると見せて引くような動作でボールを自分のものにする場面もあった。
 
 一方、青木と比べれば狭いエリアでのパス交換を好む面も見られた。相手に背後からマークされている味方選手に躊躇なくボールをつけ、リターンパスを受けて再びショートパスを展開する場面も多い。青木にはあまりないプレー選択だったように見えた。そのことで狭い局面を打開している場面もあれば、「もう少しエヴェルトンのところでサイドチェンジがあれば」と興梠慎三が話したような印象も周囲には与えた。

 この辺りは、12歳の頃からの彼を知るマウリシオが「本来は一列前の選手」と話した部分と一致しそうだ。展開を作るというよりは、もう少し前で変化をつける方がその良さが生きると言えるのだろう。青木が復帰してアンカーに入る、あるいは阿部勇樹や柴戸海を起用してエヴェルトンを前に出した時に、どれくらいの変化が生まれるかは経過観察の段階だ。
 

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