【神戸】開幕戦でまさかの“ゼロトップ”も、今季の本質はイニエスタのフリーマン化にあり

2019年02月24日 白井邦彦

ビジャとポドルスキがワイドに張り、イニエスタはトップ下。純粋なトップは無し

開幕戦では随所に輝きを放ったイニエスタだが、決定的な仕事はできなかった。(C) SOCCER DIGEST

[J1リーグ開幕戦]C大阪1-0神戸/2月22日/ヤンマー
 
 42,221人がヤンマースタジアム長居に詰めかけたC大阪と神戸の開幕戦。注目度の高い神戸をキャンプから継続的に追ってきたメディアは少なくないが、そんな神戸の担当記者たちを驚かせたのは"ゼロトップ"だった。
 
 キックオフ直後、取材ノートにビジャとポドルスキの2トップ、トップ下にイニエスタとペンを走らせた記者も多いだろう。なぜなら公開練習では、ずっとビジャの1トップを見せられてきたから。ポドルスキとの2トップは想定内として、さすがにゼロトップは……。
 
 ビジャとポドルスキがワイドに張り、イニエスタのプレーエリアはトップ下辺り。そして純粋なトップは無し。"やられた"である。
 
 もちろん、策士リージョ監督がC大阪戦のために用意した限定的なオプションの可能性もある。試合後の会見でリージョ監督は次のような発言をしているからだ。
「(狙いは)ビジャとポドルスキで相手の5人(DF)を引き付けること。イニエスタを相手センターバックから距離を置いた位置でプレーさせ、相手センターバックが常に両サイドからビジャやポドルスキが裏を狙ってくるという恐怖にさらされながら、イニエスタにどう対応するかの反応を見る。そこが"今日の"狙いでした」
 
 結果的に、前半と後半25分間は相手ゴールに近い場所でプレーできていたとリージョ監督は話す。
「エリア内にかなり人数をかけることができた。エリアまで運べたということは評価できる」
 
 さらに言えば、ポゼッション率は神戸が60%を超えていた。つまり、神戸が目指している相手陣内に押し込んだ中でのポゼッションサッカーをピッチで表現できていたと見ていい。昨季から大きく進化した部分と言えるだろう。
 
 もうひとつ興味深かったのが、イニエスタのフリーマン化だ。昨季から傾向は見られたが、さらに進化している印象である。練習時の4対4や紅白戦などでもイニエスタの立ち位置はほぼフリーマン。言い換えると、イニエスタ中心のチーム作りを進めてきたわけだ。

次ページイニエスタのフリーマン化を進めるうえで重要だったのは…

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