【現地発】「現陣容に合った戦術にアップデートすべき」との声を無視するシメオネ監督、その“賭け”は成功するのか

2019年02月20日 エル・パイス紙

多くの新戦力がチーム戦術との不適合を露呈。

頑なにこれまでのスタイルを貫こうとするアトレティコのシメオネ監督だが…。(C)Getty Images

 アトレティコ・マドリーが低調な試合を続けている。マドリード・ダービーではディエゴ・シメオネ監督が試合後に完敗を認める敗北(1‐3)を喫し、その翌週も、格下のラージョ・バジェカーノ相手にアントワーヌ・グリエーズマンが挙げた虎の子の1点を守って辛勝という有様だった。

 昨夏にアトレティコは、大金を投じてトマ・ルマール、ロドリらを獲得。大型補強を敢行した。しかし、ここまでのところ額面通りの働きを見せているのはロドリだけだ。しかもダービーでは、スタメンから外れたロドリの不在が響き、攻撃の糸口すらつかめなかった。

 ルマール、アンヘル・コレアの両アタッカーはサイドバックのように守備に奔走させられ、持ち味の攻撃は不発。アルバロ・モラタとグリエーズマンは前線で孤立し、パスが渡ってもそのほとんどがエリアから離れた位置でゴールに背を向けてという厳しいシチュエーションだった。

 攻撃の選手にもハードワークを課し、ボールを奪えば縦へ素早く展開するのがシメオネのスタイル。アトレティコが、そうしたインテンシティーの高い戦いを前面に押し出して躍進を続けてきたのは紛れもない事実だ。
 
 ただ問題なのは、長年シメオネ・サッカーを支えてきた重鎮組の中で、ガビが昨夏に退団。ディエゴ・ゴディン、フィリペ・ルイス、ファンフランらが衰えを見せはじめ、さらに生え抜きのコケとサウール・ニゲスが今シーズン、低調なパフォーマンスに終始する中、近年、鳴り物入りで加入した多くの新戦力がチーム戦術との不適合を露呈している点だ。

 ここ数年の間に獲得した選手の中で、現在不動のレギュラーとして活躍を見せているのがヤン・オブラク、グリエーズマン、ロドリの3選手しかいないという補強戦略の失敗と、プレースタイルのアンマッチは決して偶然ではない。

 チーム周辺では、現陣容に合った戦術にアップデートすべきという声は出ている。しかし周知の通り、シメオネをはじめ首脳陣は頑なにみずからを成功へと導いたスタイルの継続に固執している。この賭けが成功するかどうかは、すべて結果次第。その最大の試金石となりそうなのが、現地時間の2月20日と3月12日に実施されるCLラウンド・オブ16のユベントス戦だ。

文●ラディスラオ・J・モニーノ(エル・パイス/アトレティコ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事