【番記者通信】復権に向け、差し始めた光|インテル

2014年03月13日 サルバトーレ・リッジョ

ナポリを引きずりおろし、CL出場権も?

23節以降は3勝2分けと無敗。オーナー交代に伴う混乱から脱し、ピッチでのパフォーマンスが上向いている。 (C) Getty Images

 スランプからはもはや脱した。ワルテル・マッザーリ監督は、インテルのあるべき姿を取り戻しつつある。シーズン当初に設定された目標は、昨シーズンは9位に終わって逃したヨーロッパリーグ(EL)の出場権(4、5位)を最低でも獲得すること。それが望めるチーム状態になったということだ。

 アウェーでのフィオレンティーナ戦の勝利(24節/2-1)は、チームに良いムードを生んだ。続くホームのカリアリ戦ではエルナネスの欠場が響きドローに終わったものの、“プロフェータ”(預言者の意味でエルナネスの愛称)がピッチに立てば、マッザーリ監督はみずからの構想に近いサッカーが実現できる。エルナネスが戻ったトリノ戦(27節)では、組み立てのクオリティーが高まったうえに、このブラジル代表MFが中盤のプレスも保証するためだろう、ワルテル・サムエルやファン・ジェズスを欠いたにもかかわらず守備が安定した。

 このトリノ戦を1-0で手堅くモノにすると、同節に4位のフィオレンティーナがユベントスに敗れたため、インテルは勝点1差に肉薄した。EL出場権争いのうえでも、非常に重要なプロフェータの復帰だったのである。

 今後の焦点は、現在の好調なパフォーマンスをシーズン終了まで2か月間持続できるかどうか。維持できれば、フィオレンティーナをかわして4位でのEL出場権獲得だけでなく、うまく行けば3位のナポリを引きずりおろし、チャンピオンズ・リーグ(CL)出場権(3位以内)を狙えるチャンスをつかめるかもしれない。

 パフォーマンスを持続させるために大事なことは、実にシンプルだ。エルナネスとフレディ・グアリンに中心に、組み立てとチャンスメークの質をさらに高め、マウロ・イカルディとロドリゴ・パラシオに点を取らせることだ。トリノ戦ではパラシオがヘッドで決勝ゴールを決めたが、2014年に入ってからそれがようやく2点目だった。EL出場権を確実なものとし、さらにCL出場権をうかがうためには、パラシオがコンスタントにゴールを挙げられるかもひとつの鍵になる。

 いずれにせよ、不振に喘いでいた数週間前には考えられなかったほど良いムードが、チームに生まれている。エリック・トヒル会長にも笑みがこぼれる。オーナーの交代劇から混沌としていたインテルに、未来への光が差し始めた。願わくば、EL出場権の獲得で満足などせず、復権に向けての土台をこの終盤戦で築き上げ、弾みをつけられたら――。

【記者】
Salvatore RIGGIO|MESSAGGERO
サルバトーレ・リッジョ/メッサッジェーロ
1983年ミラノ生まれ。データスポーツの編集員を経て、現在は一般紙『メッサッジェーロ』のスポーツ担当としてミラノ地域を受け持つ。インテルのみならずミラン、さらにその両チームの下部組織も精力的に取材し、評価を高めている若手記者の筆頭。

【翻訳】
神尾光臣
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