【セルジオ越後の天国と地獄】守備的な戦いに終始して見せ場のなかった初陣

2014年09月11日 週刊サッカーダイジェスト編集部

経験の浅い選手が犯したミスの責任は、起用した監督にある。

初陣を飾れなかったアギーレジャパン。守備的な戦いに終始し、ウルグアイにはまったく歯が立たなかった。 (C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト9.23号(9月9日発売号)より
 
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 アギーレ監督率いる日本代表の初陣となったウルグアイ戦が9月5日に札幌で行なわれ、0-2で敗れてしまった。
 
 日本代表が新監督就任後の初陣を落としたのは、加茂監督が指揮を執った95年のナイジェリア戦以来だという。この時はサウジアラビアで開催されたインターコンチネンタルカップという公式戦でのことだったけど、国内の親善試合となるとオフト監督時代、92年のアルゼンチン戦までさかのぼるそうだ。
 
 もちろん、チームが結成されたばかりだから、結果はそれほど重要ではない。だけど、内容に関しても、正直あまり見るべきものがないゲームだったね。
 
 日本はアンカーを置き、3ボランチ気味にして守備的に戦った。出場停止のスアレスを除き、1軍に近いメンバーで来日したウルグアイに対し、守備を固めてカウンターを狙ったのかもしれないけど、効果的なカウンターは繰り出せなかったね。日本の前線にはスピードがなかったし、カウンターの起点となれる選手もいなかった。
 
 この日の中盤は、森重、細貝、田中の3人で構成されていた。森重と細貝は守備的な選手だし、田中はアタッカー。ゲームを組み立てる選手も、パスを出せる選手もいないんだから、ポゼッションどころか、効果的なカウンターを繰り出せないのも無理はない。
 
 前半はプレスをかけて頑張ったけど、後半の途中から足が止まってしまって、リードして守備を固めてきた相手を崩せなかった。武藤や柿谷、森岡といった攻撃の選手を次から次へと送り出しても、ゲームの流れを変えるほどの効果はなく、みんなパッとしなかった。
 
 日本代表初選出の皆川と坂井をいきなりスタメンで起用してきたのには驚いたけど、これは「ちゃんと視察して選出したから起用するんだ」という意思表示というか、パフォーマンスだろう。皆川は決定的なチャンスでヘディングシュートを外してしまった。あれを見ていると、背が高いわりにあまりヘディングが上手くないように感じられたね。
 
 一方の坂井は、2失点に絡んでしまった。特に1失点目のトラップミスは非常にお粗末で、代表選手がしてはいけない種類のミスだよ。こうした大舞台でのミスは、時として選手から自信を奪ってしまうことがある。だから、若い選手の起用は慎重にならなければいけないんだ。特に坂井はJリーグでの出場経験も浅いだけに、彼の今後が心配だ。ミスの責任は坂井ではなく、起用した監督にあるよ。

次ページ首を傾げたくなる選手起用や戦い方。期待を抱かせる初陣ではなかった。

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