開幕3試合で何が見えた? 【アーセナル】のスタートを番記者が診断

2014年09月04日 ジェレミー・ウィルソン

恒例行事となりつつある怪我人の続出。

3節レスター戦で待望の初ゴールを挙げたA・サンチェスだが、既存戦力との融合はまだ完成途上だ。 (C) Getty Images

 8月16日に開幕したプレミアリーグは、9月頭の代表ウィークまでに3節を消化した。
 
 スタートから3試合で、何が見えたのか? プレミアのメガ5クラブに密着する各番記者が、それぞれのチームの滑り出しを考察した。
 
 60億円相当の巨額を投じてアレクシス・サンチェスを獲得し、11年ぶりのリーグ優勝に向けて機運が盛り上がるアーセナルを、ジェレミー・ウィルソン記者が斬る。
 
[考察1]
【A・サンチェスの融合に影を落とすジルー離脱】
 
 3500万ポンド(約59億5000万円)の移籍金を投じたアレクシス・サンチェスの獲得で、11年ぶりのリーグ優勝に向けて機運が盛り上がる。だが、チリ代表のアタッカーはまだまだアーセナルのオフェンスにフィットしておらず、既存戦力との融合は完成途上だ。
 
 足かせとなりそうなのが、オリビエ・ジルーの故障離脱だ。年内いっぱいの欠場が濃厚なこのフランス代表FWの代役として、サンチェスをCFで起用せざるをえない状況が生じたのは、この新戦力をサイドで機能させようとしていたアーセン・ヴェンゲル監督にとっては小さくない誤算だろう。その意味では、移籍期限最終日にマンチェスター・ユナイテッドから獲得したダニー・ウェルベックの出来が、大きな鍵を握っている。
 
[考察2]
【サーニャとヴェルメーレン退団も最終ラインはむしろ良化】
 
 ニューカッスルから獲得したマテュー・ドゥビュシーが、契約満了で退団したバカリ・サーニャ(マンチェスター・シティへ)の穴をまったく感じさせない好パフォーマンスを披露している。守備は堅実、攻撃参加は鋭く、右サイドはむしろクオリティーが高まった印象だ。
 
 そのドゥビュシー以上のインパクトを放っているのが、サウサンプトンから新加入のカラム・チェンバースだ。本来は右SBながら、ポリバレントな能力を見出したヴェンゲル監督にCBとして抜擢されると、19歳の逸材は、ワールドカップ参戦で出遅れたペア・メルテザッカーの代役を見事に務め上げているのだ。トーマス・ヴェルメーレン(バルセロナへ)が抜けた穴も、いっさい感じられない。
 
[考察3]
【今シーズンもまた…怪我人続出の嘆息】
 
 主力の故障離脱は、もはや毎年の恒例行事となりつつある。昨シーズンは、アーロン・ラムジー、セオ・ウォルコット、メスト・エジルが長期欠場を余儀なくされ、それに伴ってチームの勢いはみるみるうちに衰えた。
 
 今シーズンは、前述のように早くもジルーが足首の怪我で戦列を離れ、ミケル・アルテタ(足首)とキーラン・ギブス(ハムストリング)も相次いで負傷。「またか」と、関係者やファンを嘆息させている。
 
【記者】
Jeremy WILSON|Daily Telegraph
ジェレミー・ウィルソン/デイリー・テレグラフ
英高級紙『デイリー・テレグラフ』でロンドン地域を担当し、アーセナルに精通。チェルシーとイングランド代表も追いかけるやり手で、『サンデー・タイムズ』紙や『ガーディアン』紙にも寄稿する。
【翻訳】
田嶋康輔
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