「ぶつけて修正」を繰り返す森保ジャパン。鍛えてきた“はず”の対応力はイランに通用するのか|アジア杯

2019年01月26日 清水英斗

森保ジャパンの試合展開は、いつもベースが同じだ

日本代表は柴崎(7番)などのボランチを経由せずに、CBからダイレクトに前線へ縦パスを入れたが、ミスを繰り返した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 アジアカップ・準々決勝のベトナム戦は、1-0で日本代表が競り勝った。これで5試合連続の1点差勝利である。
 
 前半は、摩訶不思議なアドベンチャーだった。正直、なぜあのような展開になったのか、よくわからない。日本は立ち上がりから裏、裏へロングボールを放り込み続けるが、ベトナムのDFは、背後のスペースへの警戒が強く、ほとんどクリアされた。
 
 その手前、DFとMFのライン間を狙った長めの縦パスも、日本は数多く入れたが、ベトナムのMFに、インターセプトされる場面が目立つ。信頼と実績の吉田麻也とは思えないほど、同じパスミスを繰り返しているのが、どうにも腑に落ちない。"疲労"で片付けることもできなくはないが。
 
 5-4-1で構えるベトナムの戦い方は、想定通りだったはず。もっと柴崎岳などのボランチを使い、一列、一列、丁寧に剥がすほうが効果的だった。相手が食いついたら、後ろへ戻し、スペースを作ってから縦パス、あるいは横に大きく展開など、"出し入れ"を増やして揺さぶる。
 

 そうやって相手の構えた守備を振り回してから、最終ラインに有効な勝負を仕掛ければ良いのに、なぜ、これほど縦に急ぐのだろうか? 1度や2度のチャレンジなら理解できるが、それ以上に何度も繰り返したことが気になった。摩訶不思議である。
 
 つかもうぜ、CK!?
 
 平均身長が約179センチの日本は、ベトナムよりも5センチほど高い。マーキングなどの個人戦術を含め、セットプレーでは明らかに分があった。縦に放り込んで、コーナーキックの獲得を狙っていく。もしかすると、そういう戦略だったのか?
 
 それは一理あるし、実際に私も試合直後はそう考えていた。しかし、時間を得て、じっくり考えてみると……。どうもベトナム対策とか、疲労やコンディションの考慮とか、そういうことではないと思えてくる。
 
 森保ジャパンの試合展開は、いつもベースが同じだからだ。ゴールの最短ルートへダイレクトに仕掛け、守備はアグレッシブにボールを奪い返す。そして後ろは、前線の個の持ち味を生かすべくサポート。
 

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