【日本代表】注目の大学出身ルーキー皆川、武藤と、同世代の柴崎を「フィジカル」的側面から分析!

2014年09月02日 澤山大輔

「丸める動き」に長けた皆川に、「反らせる動き」が加われば…。

代表選出後の徳島戦でも1ゴールを奪った皆川。体幹をさらにうまく使えれば、まだまだ伸びる可能性を秘めている。(C) SOCCER DIGEST

 日本代表のハビエル・アギーレ新監督が、キリンチャレンジカップに向けたメンバーとして選んだのは12人の海外組、そして11人のJリーガーという顔ぶれだった。11人のJリーガーのうち5人はA代表初招集で、さらにそのうち2人は大学出身のルーキーということもあり、招集メンバーの新鮮さは一層際立っている。
 
 今回、その2人の大学出身ルーキーで、ここ数試合のJリーグでも印象的な活躍を見せている皆川祐介(広島)と武藤嘉紀(FC東京)、そして年齢的には彼らと同世代ながら十分な経験を持つ柴崎岳(鹿島)の3人について、フィジカル的側面からの分析を試みた。
 
 3人のプレーヤーとしてのポテンシャルはいかなるものか。また、さらなるレベルアップのために何が必要なのか――。「Oriental Physio Academy」の理学療法士・波田野征美氏が、スペシャリストの視点で3人の有望株を掘り下げる。
 
――◆――◆――
 
 まずはサンフレッチェ広島の皆川祐介選手。186センチ・84キロという長身・重量級のFWで、かなりのボリュームがある選手ですね。低い弾道のクロスに対しても、しっかりと対応できるのは魅力です。このサイズで岡崎選手のようなアクロバチックなプレーもできるのですから、今後が楽しみです。ただ、日本代表でコンスタントにプレーすることを考えると、まだ安定感はないかもしれません。
 
 この体格ですから、空中戦での勝負を期待される選手だと思います。ヘディングで競り勝つには、「高く跳ぶ」「早く跳ぶ」「長く跳ぶ(滞空時間)」ことが必要ですが、それを実行するためには体幹(胴体)をうまく『反らせる』、ヘディングを強く放つために『丸める』という動作が必要になります。
 
 皆川選手は、丸める動きはできていますが、反らせる動きはまだまだという印象を受けます。また、ボールが自分の正面にある場合ならいいですが、そうでない場合は空中で身体の軸を入れ替える必要があります。そのためには、左右の肩、股関節の外旋(外側にねじる動き)を使った切り替えが必要です。この身体の軸の切り替え動作にも、課題が見受けられます。
 
 8月23日のC大阪戦では、右からのクロスを胸トラップした後、ハーフボレーシュートを放ちましたが、蹴った後に軸足が滑っていました。ボールと身体との位置関係上、こういう蹴り方が必要な場面もありますが、この蹴り方では外した後にフォローの動きができません。軸足側に体重が残っているためです。蹴り足側に体重を乗せていけば、振り切った後の足に体重が乗るため転ぶことなく着地でき、そのままスムーズに次のプレーに移行できます。
 
 皆川選手は、これまでの日本人選手には少ない堂々たる体格を持つFWで、今後順調にキャリアを重ねていけば、いずれは海外へ移籍することもあるかもしれません。ただ、世界を目指していく過程において「もっとパワーを」と追い求め過ぎると、身体が固くなってしまう恐れがあります。皆川選手には、すでに海外の選手に負けないほどの肉体があるのですから、今後は上記したようなポイントを踏まえ、より自由度の高い、柔らかい身体を作っていくよう心掛けるのがいいでしょう。

次ページ武藤は「股関節の外旋」を使った軸の切り替えがうまい。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事