【岩政大樹】ギクシャクした前半と盛り返した後半。相手を見て立ち位置を変える臨機応変さが勝利を引き寄せた

2019年01月18日 岩政大樹

ここまでの森保ジャパンは守備のコンセプトがいまいち見えてこないが…

ボランチの塩谷(18番)や青山が立ち位置を変えたことで、日本は攻守ともに変化が出た。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表は3連勝でアジアカップのグループリーグを首位通過。森保監督の公言通りにメンバーを大幅に入れ替えて臨んだウズベキスタン戦で、しっかりと勝ち切る試合をできました。手応えを持って決勝トーナメントに挑めるでしょう。
 
 現時点の"ファーストセット"からすべてのメンバーを入れ変えて挑んだ日本に対し、ウズベキスタンは30歳前後の選手こそ休ませたものの、主軸を担う若手やGKなど、連戦の影響をそれほど受けない選手は起用してきました。戦い方も、今大会で採用している4−1−4−1を踏襲し、メンバー変更の影響を最小限に抑えてきました。
 
 そのため、立ち上がりにチーム全体からギクシャクした感じが見えたのは日本のほうでした。それは致し方ないことだったと思いますが、気になったのは守備のやり方です。2ボランチの塩谷選手と青山選手は相手インサイドハーフの22番(シディコフ)と18番(ムサエフ)のマークに付く意識が強かったため、ふたりの間にパスを通される場面が散見されました。
 
 それ自体は、この日のウズベキスタン相手には問題ではありませんでした。1トップの14番(ショムロドフ)は流れてプレーするのを好み、後ろに下りていくプレーは得意ではなかったので、"誘い込んだ"と見れば上手いやり方だったと思います。
 

 ただ、基本的にボランチが相手のマークに付く意識から守備に入ると、全体は連動しません。ここまでの森保ジャパンは守備のコンセプトがいまいち見えてこないのですが、2戦目のオマーン戦である程度の形になったのは、柴崎選手と遠藤選手が中を閉める意識を強く持っていたからだと感じていました。
 
 しかし、ウズベキスタン戦では中を閉める意識が低く、守備の連動性も上がりませんでした。チームとしての守備の形が明確になっていないために、前半のギクシャク感を助長しているようにも見えました。このあたりは、今後の課題として挙げておきたいと思います。
 
 そのなかで、前半にまず選手たちが探したのは乾選手だったと思います。4−1−4−1の相手の1枚のボランチの脇に、彼お得意の潜り込み方でボールを受けて起点になることで、攻撃の糸口となりました。コンディションはまだ万全ではないようですが、攻守におけるビジョンの提示という意味では、欠かせない役割をしていたと思います。
 
 前半の途中から相手が中を閉めるように中盤の立ち位置を修正すると、乾選手は外に立ち位置を変えて相手の動きの逆を取ろうとしたり、守備のスイッチ役を担ったりと、チームとして判断の引き金になっていったと思います。
 

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