【選手権】超大型FWが本物の守備者へ――。福岡入団内定の192センチCB三國が自身を変えた最後の1年

2019年01月15日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

目標であるプロ入りを果たすべくCBへ転向。だが、当初は…

最高の笑顔で高校生活を終えた三國。1年前と見違えるようなプレーで、自らの才能を誇示した。写真:徳原隆元

[高校選手権・決勝]青森山田 3-1 流経大柏/1月14日/埼玉
 
 センターバックに専念して早1年。ナイジェリア人の父を持つ192センチの大型プレーヤーが日本一のタイトルを掴んだ。
 
 三國ケネディエブス(3年)、18歳。中学校1年生で東京から青森に越境した男は埼玉スタジアムのピッチで、苦楽を共にした仲間たちと6年間の集大成を飾った。
 
 1月14日に行なわれた高校サッカー選手権の決勝。成人の日に決勝が行われるようになった2002年以降最多となる54,194人の観衆に見守られるなか、青森山田は流経大柏を3-1で下して2年ぶり2度目の優勝を果たした。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、選手たちは狂喜乱舞。三國も頬を緩ませ、チームメイトと喜びを噛み締めた。
 
 思い返せば、三國にとって高校ラストイヤーは激動の年だった。全国中学校サッカー選手権で得点王に輝き、世代別代表にも名を連ねていた男は自ら志願して本格的にCBへ挑戦。ストライカーとの二刀流だった昨季から最終ラインでプレーしていたとはいえ、ディフェンスの動きを覚える作業は一筋縄ではいかなかった。
 
 CBに固定されて間もない3月中旬のサニックス杯では高さを生かしたプレーで存在感を示すも、ステップやポジショニングに関しては素人同然。黒田剛監督からも「1年間で徹底的に鍛え上げる」と発破を掛けられるほど、多くの課題を残した。
 
 たが、そうした状況にも三國は挫けなかった。
 
「プロに行くには何かを変えないといけない」
 
 並々ならぬ覚悟でコンバートを志願した男はここから守備者としての極意を学んでいく。ポジショニングをコーチ陣と二人三脚で覚え、ステップワークも一から覚えていった。192センチと恵まれた体躯を持つ一方で線の細さが目立っていたフィジカル面も強化。時間を見つけては筋力トレーニングに励み、ベンチプレスは100Kgを持ち上げられるように。首回りも含めて身体は一回り大きくなった。すると、ヘディングの破壊力もこれまで以上に増し、空中戦の強さは流経大柏の関川郁万(3年)と並んで高校年代トップクラスと称されるまでに成長を遂げた。

 約3か月後の7月17日、福岡入りが決定。右肩上がりで成長を遂げた三國は8月のSBS杯で高校1年生以来となる世代別代表にも招集された。U-18代表の一員として結果を残すと、10月には高体連の選手では唯一、U-19代表に名を連ね、今年5月に開催されるU-20ワールドカップの予選を兼ねたアジア選手権にも出場した。

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