「何回ぶち壊れたか…」“やんちゃ”だった世代の日本一に青森山田・黒田剛監督の心境は?【選手権】

2019年01月14日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

「雪国=ハンデ」というレッテルを覆す勝利に

檀崎(10番)を中心に個性豊かな選手たちを巧みな手腕でまとめあげたのが黒田監督だ。 写真:金子拓也(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権・決勝]青森山田 3-1 流経大柏/1月14日/埼玉スタジアム

 2年ぶりに全国制覇を成し遂げた青森山田。その指揮官である黒田剛監督は、試合後の会見場に充実感が漂う笑みを浮かべながら入ってきた。

 苦しい出だしではあった。前半32分に警戒していたセットプレーから関川郁万に先制ゴールを許す展開となり、準々決勝から3試合続けて先行されたのだ。

 しかし、チームは、10番の檀崎竜孔が、前半40分と後半18分にゴールを決めて逆転。さらに試合終了間際の後半43分には途中出場の小松慧が、決定的な3点目を奪った。

 就任24年目で二度目の頂点に立った黒田監督は、「平常心で追いつき、逆転するパワーや精神力を身につけてくれた。選手たちの成長を褒めたいです」と選手の称え、さらに3年生へ言葉を送った。

「このチームは本当にやんちゃなチームで、何回ぶち壊れてきたかは分からない。でも、選手たちはそのたびに何回も再構築して、最後は日本一の素晴らしいチームになってくれた。教え子に感謝したい」

 この決勝に向けては、「あえて、雪深く、厳しい環境の青森を選択して、耐えて、辛抱した覚悟や決断、そして中学からだと6年、高校からだと3年間、一緒にやってきた仲間を信じて戦いなさい」と選手に発破をかけたという指揮官は、改めて、雪国・青森がタイトルを獲る意味を語った。

「青森は雪国ですけど、今の日本代表にいるような室屋(FC東京)や柴崎(ヘタフェ)のようなテクニカルな選手も出てきます。だから、雪がサッカーのハンデになることはないです。苦しい思いをして、雪の解けた春先のボールを蹴ることができるのを待ち望んで、数か月を過ごすのが、私たちの指導のなかで重要なことだと思っています。

 雪国はサッカーにおいて、育成には最高の条件だということになるように、青森の良さも全国に発信したいとやってきました。それが3年で2回優勝できたことで、それなりに表現はできたのではないでしょうか」

 冬場にはボールを使ったトレーニングが限られるが、むしろそれを活かし、選手たちにサッカーへの「渇望」を植え付けながら、地道なトレーニングを続けてきた黒田監督。「雪国=ハンデ」というレッテルを覆す今回の優勝に、高校サッカー界の名将は胸を張った。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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