金田喜稔がオマーン戦を斬る! 「無得点でも見逃せない南野の貢献度。柴崎はようやくパスにアイデアと意思が注入される」

2019年01月14日 連載・コラム

右で攻撃の起点を作れたのは収穫。

無得点に終わったものの、つねにゴール向かう姿勢を見せた南野を高く評価。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 勝てたことは素晴らしい。でも後半が少し残念というか、物足りなかったね。相手が引かずになりふり構わず出てきてくれてるわけだから、余裕を持って仕留めてほしかったね。そのへんのゲーム運びがうまくいかなかった。後半最初のシュートが75分を過ぎてからではね。

 ただそれでも、1試合を通して失点をゼロに抑えたわけだから、守備に関しては及第点が与えられる。もちろん、本当ならあと2、3点奪って楽なゲーム展開にするというのが理想だったし、そうあるべきだと思うけど、この大事なゲームで勝利できたこと、確実に決勝トーナメント進出を決めたことは素直に評価していい。

 収穫は右サイドのコンビネーションだろうね。堂安、酒井、そして柴崎。この3人が絶妙な距離感でリンクして、攻撃の起点を右サイドに作れていたというのは、これまであまり見られなかった形。そこはすごく良かった。中島がいなくても攻撃にスイッチが入るようになったからね。

 開始直後には、堂安が右サイドを突破して、原口のシュートがバーを叩いたシーンがあったけど、あれが入っていたら、あるいは南野が、何本かあった決定的なチャンスを決めていれば、あと2、3点は決められた。
 
 その南野は、まったく存在感がなかったトルクメニスタン戦から、大きく変貌を遂げたよね。ボールの受け方も巧いし、なによりシュートへの意識が非常に高い。つねにゴールに向かおうとするあの姿勢には、すごく好感が持てた。

 そして彼は、守備の意識もものすごく高かった。トップ下のポジションに入る彼が、味方の最終ラインの前まで戻ってディフェンスに参加し、相手のボールを奪いに行ったり、プレッシャーをかけたり、身体を張ったプレーを見せたりと、ホント、ほんの数日でこうも劇的に変わるかっていうくらい存在感は絶大だったね。

 だからこそ、今日の南野には2、3点ぶち込んでほしいっていうのがあったんだけど、無得点だからって、彼の貢献度を見逃すわけにはいかない。僕の中での総合的な評価は、このオマーン戦のナンバーワンだ。

 トルクメニスタン戦で南野は、途中で交代させられた。それもあってか、今日の試合にかける意気込みにはすさまじいものがあった。絶対に点を取るんだ、すべての局面で全力を出し切るんだっていう強い気持ちや覚悟を彼は見せてくれた。

 ああいうプレーを見せられると、単純な感想で申し訳ないけど、「やっぱすげーな」って思うよね。次の試合でも、その次の試合でも、90分間フルにとは言わないけど、また同じようなプレーを観せてほしいっていう期待感が、僕の中ではすでに高まっている。
 

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