【選手権】快勝劇を演出した流経大柏のエースキラー。青森山田との対決を「楽しみ」と心待ちにするワケは?

2019年01月12日 森田将義

準決勝は不慣れなポジションながらも貢献度の高い働き

今大会はエースキラーとして貢献度の高い働きを見せている西尾。準決勝では、サイドでのボール奪取というタスクを堅実にこなした。写真:田中研治

[高校選手権・準決勝]流経大柏5-0瀬戸内/1月12日/埼玉

 流経大柏が決勝までの4試合で許した失点はわずかひとつ。本田裕一郎監督の「トーナメントはまず守備から」という考えを忠実にこなしているのが、勝ち上がりの最大の要因だ。前線からの絶え間ない守備、鹿島入団内定のDF関川郁万(3年)の跳ね返し…など今大会で目を惹くポイントはいくつも挙がるが、なかでも忘れてはならないのが、DF西尾颯大(3年)の働きだ。


 本職は右SBだが、今大会では50m6秒ジャストの快足を買われ、相手のキーマンを抑えるエースキラーとしての役割を与えられている。初戦の徳島市立戦では、相手のスピードスター、FW岡健太(3年)封じの命を受け、後半途中からピッチに立った。準々決勝の秋田商戦では、相手のキーマンであるMF鈴木宝(3年)を抑えるため、左SBとしてもプレーした。初戦こそ岡にゴールを許したが、以降は無失点。西尾自身は「自分の出来はまだまだ。今日も5番の選手とマッチアップした際に剥がされてしまう場面があった。完璧に抑えられるようにならないと満足できない」と納得のいく表情は見せないが、チームへの貢献度は非常に大きい。

 2年連続での決勝進出が懸かったこの日、与えられた役割は右サイドハーフだった。指揮官から与えられた指示は、サイドでのボール奪取で、前線からのプレスで相手の攻撃を誘導し、サイドで奪うのが西尾の役割だった。同時に、相手がボールを持った際に中に絞って、中央を固めるのも狙いの一つで、試合後に「今日は、守備が上手く行ったと思う」と自己評価したように不慣れなポジションながらも貢献度は高かった。

 ただ、攻撃的な位置に入ったからには、守備の役割だけで終わるつもりはない。「自分はスピードが特徴なので、自分がボールを受けた時は絶対に突破してやろうと思っていた」との意気込み通り、前半10分には速さを活かして、右サイドを突破。マイナスに入れたボールを中央に走り込んだMF藤井海和(1年)がワンタッチで合わせ、リードを2点差とした。「2点目が早い段階で獲れて、チームが結構楽になった」ことで、流経大柏は落ち着いたゲーム運びを見せる。42分には3点目を奪い、前半のうちに試合の大勢を決めることができた。
 

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