森保ジャパンはなぜ苦戦を強いられたのか?ロジックで解き明かす「前半の劣勢」と「後半の巻き返し」|アジア杯

2019年01月10日 清水英斗

トルクメニスタンの日本対策が面白いようにはまったのは…

前半の長友は存在感が希薄だったが、後半にポジションを修正して持ち直した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表のアジアカップ初陣、トルクメニスタン戦はざっと次のような流れだった。
 
(前半)日本はトルクメニスタンの対策に苦しめられ、0-1とリードを許す
(後半)日本の修正がはまり、3得点で逆転
(後半終盤)隙を突かれ、簡単な失点で3-2と詰められる。辛くも逃げ切った
 
 まずは前半。トルクメニスタンは日本に対し、何を用意してきたのか。
 
 4-4-2の布陣が予想されたトルクメニスタンだが、日本戦では5-4-1を敷いた。キープレーヤーはMFの両サイド、7番アルスラン・アマノフと8番ルスラン・ミンガゾフだ。このふたりはカウンターの出足が早く、中寄りのポジションを取ってくる。

 日本は26分にカウンターから先制を許したが、その起点も8番のミンガゾフだった。日本が右サイドから攻め込んだとき、逆サイドのミンガゾフが中央へ入り、カウンターの充電をしている。そして堂安律のパスミスを拾うと、フリーでロングドリブルを開始。最後は7番のアマノフがロングシュートを打ち、ロング尽くしで沈められた。

 このミンガゾフが中へ入る動きは、長友佑都にとっては捕まえづらいものだ。自分の担当サイドのスペースを空けてしまう。一方、ボランチの柴崎岳と冨安健洋も、死角から自分の背中へそろそろと寄る両ウイングを、捕まえられなかった。

 人につく守備では、この動きを捕まえるのは難しい。センターバック前の"スペースを守る意識"がなければ、流動性に振り回されるだけ。柴崎と冨安のコンビは、このスペース管理ができなかった。おそらくトルクメニスタンは、日本の急造ボランチの隙を突く狙いがあったのではないか。
 
 もうひとつ、トルクメニスタンの日本対策が面白いようにはまったのは、日本のサイド攻撃にも要因がある。左サイドは原口元気が中へ入り、長友が大外を上がって、攻める形が多かった。あるいは相手が5-4-1で前線に1枚しか残していないにもかかわらず、長友が最終ラインに張り付いたまま、お尻が重い時間も長かった。ミンガゾフにとっては、原口と長友への対応を5バックに任せたり、マークを捨てたりしやすい。つまり、カウンターの充電ポジションを、積極的に取ることが可能だった。

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