【釜本邦茂】今大会の嫌な流れにハマりかけた森保ジャパン。堂安律にはさらなる進化を期待!

2019年01月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

数年前の日本代表を見ているような感覚に襲われた

初戦を苦しみながらも白星で飾った日本。しかし、決して手放しで称えられる内容ではなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 アジアカップのグループリーグ初戦で、日本はなんとかトルクメニスタンに3対2で勝利した。先制を許したあと、後半3点を奪って試合をひっくり返したものの、終盤にまた押し込まれて、1点差に詰め寄られながらも逃げ切った。FIFAランキングがすべてじゃないけど、127位のチームを相手にちょっとあたふたし過ぎた感は否めなかった。


 相手が守備に軸足を置いてくることは分かっていたはず。奪ってからの鋭いカウンターがほとんど唯一の武器と言ってもいいチームだ。そうした相手に、前半は足もとでつなぐパスばかり。もちろん、背後にスペースなんてものはないから、そうやってつなぐしかないのだけど、なんだか数年前の日本代表を見ているような感覚に襲われたものだ。

 少なくとも、昨年の9月に発足した森保ジャパンが土台としてきたサッカーでなかったのは明らか。足もとへのパスで状況が打開できないとみると、無理に縦パスを通そうとして、今度は逆襲を食らう。うまく緩急をつけてリズムが出てきたなかでクサビを打ち込まなければ、相手も日本の狙いを把握して容易にインターセプトできてしまう。大迫や南野が密集でボールを受けると、すぐに取り囲まれて奪われる場面が多かったし、それでも大迫は惜しいシュートシーンを作っていたけど、確率の高い攻めではなかった。
 
 やはり長短のパスを、緩急をつけながらいかにテンポ良く回して、ゴール前に引いた相手の組織をずらせるか。そしていい流れでサイドでの1対1を作り、堂安や原口の個人の突破力を引き出せるか。そうした場面が生まれれば、サイドバックの長友や酒井とのコンビネーションも活きてくる。

 今大会の初戦を見ていると、どうもボールキープできるチームが劣勢の展開を強いられている。一見、試合を支配しているようだけど、いかに守って少ないチャンスを活かすか、という戦いを挑んでくるチームの術中にハマっているようだ。それがオーストラリアやタイだったと思うし、トルクメニスタン戦の日本もまさにそのパターンにハマりかけた。ボールキープできただけでは試合は支配しきれない。ボールキープの質、ゲームメイクの質、そしていかに効果的に仕掛けられるかが重要なんだ。
 

次ページゴールへ向かっていく姿勢は良い堂安だが、もっと自分のスタイルを極めるべき

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