【アジア杯|コラム】むしろ好スタート⁉ トルクメニスタン戦の苦戦がもたらす“吉兆”

2019年01月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

初戦で見えたアジア制覇への鍵とは?

大迫を軸と攻撃が今後も鍵となるはずだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 嫌な流れで、手痛い先制パンチを食らった。

 アジアカップで覇権奪回を目指す日本は、グループリーグ初戦で格下のトルクメニスタンに思わぬ苦戦を強いられる。立ち上がりからボールをキープしながらも決定機を作れず、膠着状態に持ち込まれてしまった。

 思い出されたのが、2018年ワールドカップ・アジア2次予選のシンガポール戦(ホーム)だ。前半からボールを支配したが、ほとんどチャンスを作れないままスコアレスドローに終わった試合だ。日本の攻撃に迫力はなく、ただボールを繋いでいるだけ……。引いて守る相手の術中にはまってしまった。

 トルクメニスタン戦の前半、日本は攻めあぐねているように見えた。シンガポール戦のようにゴールの予感はせず、むしろカウンターから崩されそうなシーンもあった。そんな展開で26分、トルクメニスタンの7番、アマノフに強烈なロングシュートを決められてしまう。

 日本の守備がルーズ、マークが甘い、とそんな見方もできるが、正直、あの一撃は相手を褒めるべきではないか。

 いずれにしても、なかなかお目にかかれないスーパーゴールだった。これで苦しい展開を余儀なくされた日本は流れを掴めないまま前半を終える。足もとでつなごうとする意識が高いせいか、前半に限れば日本の攻撃にそこまでの怖さはなかった。トルクメニスタンの先制弾のような思い切りのよさ、これが決定的に欠けていたように映った。
 
 だが、シンガポール戦と同じ轍は踏まなかった。後半の日本はつなぐことに固執せず、よりシンプルに最前線にボールを預けるようになり、これが結果的に功を奏した。

 日本の最前線を任されたのは大迫勇也。アジアレベルでは間違いなくトップクラスのストライカーで、その彼にボールを集めるという戦い方は極めて妥当だった。

 ドリブルで局面を打開できる中島翔哉が不在の状況で、大迫に良いボールを集めたのが左サイドハーフを担った原口元気だった。ボールをこねず、より直線的な仕掛けで大迫にボールを預け、そこから自分もシュートに絡もうとする原口のアグレッシブなプレーがトルクメニスタンの守備網に風穴を開けた。

 その原口のチャンスメイクもあって、大迫は2ゴール。確かに3-2と辛勝だったが、取るべきエースストライカーが結果を残したのは大きい。アジアレベルの戦いならもっと大迫に頼っていいはずなのだ。頼ったうえで大迫へのマークが厳しくなるようなら、堂安律や南野拓実を上手く使えばいい。"大迫ありきの攻撃"こそアジア制覇へのポイントのひとつになるはずだ。

次ページ舐めたらやられる──。それを経験できただけで…

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