サガン鳥栖、バルサ育ちの27歳ウインガーを獲得か? かつてペップも認めた「周囲を輝かせられる選手」

2019年01月09日 山本美智子

バルササポーターに強く記憶されている選手。

写真は2011年12月に横浜で開催されたクラブW杯時のもの。噂通りクエンカ(右)のJリーグ参戦が決まれば、ぜひ注目したい選手だ。(C)Getty Images

 スペイン人監督のルイス・カレーラス率いるサガン鳥栖が、元バルセロナのフォワード、イサアク・クエンカの獲得を狙っているとのニュースを、スペイン各紙が報じている。

 クエンカは、多くのバルササポーターが強く記憶している選手だ。

 バルサのカンテラ(下部組織)でプレーしていた頃にその才能をジョゼップ・グアルディオラによって見出され、トップチームに呼ばれるようになったのは2011年。20歳でトップチームデビューを果たしたそのシーズンには、公式戦30試合に出場した。

 しかも、ラ・リーガ16試合、コパ・デル・レイ6試合、チャンピオンズ・リーグ(CL)7試合、クラブワールドカップ1試合と、全コンペティションで起用されているこのデータが、ペップをはじめとする首脳陣の信頼の厚さを物語っている。

 そして、このシーズンのハイライトのひとつであったCL準々決勝第2レグのミラン戦で、グアルディオラがアレクシス・サンチェス(現マンチェスター・ユナイテッド)をベンチに座らせ、クエンカをフル出場させたのは、いまでもファンの間で語り草になっている。

 その年にクエンカが出場したCL7試合でのアシスト数は4。当時グアルディオラはクエンカについて、「彼は多くの女性には好かれないかもしれないが、ピッチの上では完璧に仕事をこなす。完璧にだ。彼には周囲(の選手)を輝かせる能力がある」と冗談を交えながら、手放しで褒めている。
 
 クエンカは、2012年にバルサのトップチームと3年契約を交わし、将来を有望視されていたが、その年の5月に右膝を負傷し、2013年1月まで約8か月の戦線離脱を余儀なくされ、復帰後はアヤックスにレンタル移籍。一度は戻ってきたものの、ルイス・エンリケを新たに招聘したチームに彼のポジションはなく、2014年夏にバルサを離れた。

 その後、デポルティボやグラナダなどに所属し、2018年夏、イスラエルのハポエル・ベエルシェバから、生まれ故郷の老舗クラブ、レウス(スペイン2部)へ移籍したが、ラ・リーガの規約で決められている最高年俸を超えているのではないかとの「疑惑」があることから登録が許可されず、今シーズンはまだ1試合もプレーしていない。

 まだ27歳という若さながら経験豊富なクエンカ。かつてグアルディオラもその才能を認めたこのサイドアタッカーの移籍が正式に決まれば、チームメイトとなる点取り屋のフェルナンド・トーレスにとっても、朗報と言えるだろう。

文●山本美智子(フリーランス)
 
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