【選手権】青森山田の怪物1年生が示した“末恐ろしい大器の片鱗”

2019年01月03日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

大津との大一番で、決定的な3点目をゲット

タレント軍団・青森山田が誇るスーパールーキー、藤原優大。覚えておいてほしい名前だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権・3回戦]青森山田 3-0 大津/1月2日/等々力
 
 大会屈指の好カードとなった選手権3回戦、青森山田vs大津戦で、16歳の俊英が鮮烈なインパクトを与えた。

 青森山田の2点リードで迎えた後半18分、2年生のMF武田英寿に代わってピッチに投入されたのが、期待の1年生MF藤原優大だ。中盤で守備のタスクを与えられたルーキーは、後半27分に大仕事をやってのける。右サイドを電光石火のドリブルで打破したMFバスケス・バイロンが中央へパスを送ると、これが相手選手に当たって後方へ流れる。そのこぼれ球に素早く反応した藤原が思い切ってダイレクトで左足を振り抜き、3点目をねじ込んだのだ。この一撃で、試合の趨勢は定まった。

 青森生まれの青森育ち。青森山田中3年時の2017年度には、キャプテンとして臨んだ全国中学校サッカー大会、いわゆる全中を制した(同校は大会4連覇)。高等部への進学を前に大きな注目を集めていたが、そこはプレミアリーグEASTの覇権を争う超名門だ。1年生がそう容易く入り込める空間ではない。

 ところが、藤原は持ち前のユーティリティー性を存分に発揮し、瞬く間にトップチームでの居場所を見つけるのだ。名将、黒田剛監督はこう評している。

「けっこう図太いし、PKでも蹴らせられる。とにかくヘディングが強いんですけど、ボランチ、シャドー、センターバックとどこでもやれるし、与えられた仕事をちゃんとできる選手。点が欲しいときは高さがあるから前でも使いますよ。プレミアリーグの何試合かで使って2点決めていますからね。緊張することなく自分の力を出しているところは評価できると思うし、1年生としてこの大会に連れてきてもらえたことの意味をしっかり理解させながら、来年に繋がる経験をしてほしい」

 では、大津戦のあの大事な時間帯であえて「1年生・藤原」というカードを切ったのは?

「ちょっと武田の守備力と運動量が落ちていたんです。シャドーで使っているので前に重心がかかっているぶん、戻れなくなっていたんでフレッシュな選手を入れたかった。藤原はヘディングが強くて、リスタートのところで攻撃のポイントになれるし、中盤に入ってきたボールも跳ね返せる。たしかに1年生で経験は乏しいんだけど、落ち着いてやってくれると信じていました」

 黒田監督が藤原に与えた役割は、「シャドー気味なんだけどボランチを意識した形」。一見すると難解に思えるが、スーパールーキーはしっかり指揮官の期待に応え、ゴールまで奪ってみせた。モっている、と言うべきか。

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