大宮との連携から11年。インカレ初出場&初勝利を掴んだ東洋大が描く「関東1部」強豪への道

2018年12月15日 竹中玲央奈

関東リーグのラスト8戦は負けなし

東洋大のインカレ初勝利に貢献した坂元(※写真は2月のデンソーチャレンジカップ)。写真:竹中玲央奈

 冬の大学日本一を決める全日本大学サッカー選手権(インカレ)が12月12日に開幕。この大会には各地域リーグの上位に入り込んだ大学に加え、夏の全国大会である総理大臣杯を制したチームが出場できる。その夏の王者に輝いたのは明治大だったのだが、関東1部リーグに割り当てたられた上位6チームの中に明治大が入ったため、7位にも出場権が与えられることになった。そこに入り込んだのが東洋大だ。今年の前半戦こそ成績が振るわなかったものの、終盤は8戦負けなしを記録。インカレ初出場を決めた。

 その東洋大は初戦で横浜フリューゲルスや川崎フロンターレでプレーをした桂秀樹氏が監督を率いるIPU・環太平洋大学と対戦した。華麗なパスワークで中央を割って山形内定の坂元達裕が得意の左足で先制点を奪取。後半一度は追いつかれるものの、終盤の87分に途中出場の荒川勇気が打点の高いヘディングでネットを揺らして勝ち越し、歴史的初勝利を掴んだ。
 
 広島の馬渡和彰や京都の仙頭啓矢、湘南の石川俊輝らを輩出している同校だが、毎年のようにプロ選手が誕生するようになったのは、ここ数年のこと。石川と馬渡は同世代で、彼らが3年時の2013年に史上最速での1部昇格を勝ち取ったのがひとつの転機であろう。初の1部の舞台は最下位に終わり1年で降格となってしまったものの、2017年から1部に返り咲いた。そして、残留争いをするチームから、インカレ出場権を争うチームに進化を遂げた。今季の終盤戦は8戦負けなしの快進撃で、王者の早稲田からも6−1で勝利を収めるという結果も残しているほどだ。
 
 東洋大は大学サッカー界で徐々に力をつけてきているチームのひとつだが、改革が始まったのは11年前に遡る。2007年にサッカー部が活動拠点とする埼玉県のJクラブ、大宮アルディージャと提携。大宮のアカデミー(育成組織)事業の一環として、東洋大に指導者派遣が行なわれるようになったのだ。現在強化部長を務める西脇徹也氏が監督に、トップチームでヘッドコーチを務める原崎政人氏がコーチに就任して提携関係がスタート。そして2012年には、現在も指揮を執る古川毅氏が監督に就任した。

次ページ指導者の交流にとどまらない大宮との密な関係

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