名将の陰に名腹心あり! ヴェルディの躍進を支える“もうひとりのスゴ腕”

2018年12月07日 高木聖佳

通訳ではない。通訳兼テクニカルアナリストだ

ロティーナ監督の名通訳にして、テクニカルアナリストも兼務する小寺氏。スペイン人指揮官の“細かすぎる”指示を懇切丁寧に選手たちに伝える。(C)TOKYO VERDY

 11年ぶりのJ1復帰に王手をかけている東京ヴェルディ。その躍進はスペイン人監督、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の手腕によるところが大きい。

 ヨーロッパ出身の指揮官は得てして信頼するファミリーとともに仕事をするが、ロティーナ監督も右腕と言える同胞のイバン・パランカコーチをスペインから連れてきた。試合中、ヴェルディ・ベンチ前のテクニカルエリアでは、ロティーナ監督とイバンコーチが入れ替わり立ち替わりに指示を飛ばしている。いまやお馴染みの風景だ。

 そしてもうひとり、そのふたりに替わって頻繁にテクニカルエリアに飛び出して声を張るスタッフの存在がある。通訳、ではない。通訳兼テクニカルアナリストだ。テクニカルアナリストは、昨季、通訳としてロティーナ監督とともにスペインからやってきた小寺真人(こてら・まなと)さんに、今季新たに加えられた肩書きだ。

 テクニカルアナリストとしての具体的な仕事については、あまり詳しく話せないそうだが、本人いわく「分析です。コーチングスタッフと分担して業務にあたっています」とのこと。通訳の仕事だけではなく、テクニカルスタッフとしての働きを認めてくれたクラブにはとても感謝しているそうだ。

 
 現在30歳の小寺さんは高校生まではサッカー部。プロ選手を夢見た時期もあったが、中学生の頃にはその道を諦めた。大学生になるとサッカー部には所属せず、でもサッカーとの関わりは捨てられず、社会人クラブでのプレーを楽しみながら、将来は指導者になりたいと考えるようになっていく。

 とはいえ、そう簡単なものでないことも承知している。4年生になると、公務員をしながら週末にサッカーをする、という未来像を描くようになった。

「でも、なんとなくワクワクしなかったんですよね」

 結局就職はぜず、卒業後、向かった先はスペインのバルセロナだった。

「とにかく1年間海外へ行ってみようと。指導者になるならバルセロナに、と考えていた時期があったから行き先として選んだけど、この時は指導者にというより語学を学んでいくうちになにかやりたいことが見えてくるんじゃないか、という気持ちでした」

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