川口能活が25年間の現役生活にピリオド。ラストマッチは「理想的なスコア」で有終の美

2018年12月02日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「僕は本当に幸せ者だと改めて思いました」

最後まで川口らしく――いくつものピンチをしのぎ、1-0の完封勝利に貢献。自身の現役ラストマッチを勝利で飾り、25年間の現役生活にピリオドを打った。(C)SOCCER DIGEST

 12月2日、J3リーグ最終節、相模原対鹿児島の一戦で、すでに引退を表明している元日本代表GKの川口能活が"現役ラストマッチ"に挑み、1-0の勝利で有終の美を飾った。
 
 今季はなかなか出場機会に恵まれず、久々の公式戦の舞台で本人も「緊張していた」「不安のほうが大きかった」と試合後に明かしたが、実に川口らしいパフォーマンスを披露した。
 
 最初の見せ場は20分。決定的なピンチの場面でグッと前に出て、相手のシュートコースを狭めて事なきを得る。前半の終了間際には正面からのシュートを確実にキャッチ。54分にも1対1のシーンを作られるが、果敢なシュートストップでしのぎ、そのこぼれ球を詰められそうになるも、素早く飛びついてボールを懐に収める。
 
 70分にジョン・ガブリエルのPKで先制した瞬間は、ガッツポーズを3度、繰り返して喜びを表現。そして試合は、1-0のままタイムアップ。川口は両手を天に高々と突き上げた後、チームメイト一人ひとりと抱擁をかわした。
 
 試合後の引退セレモニーでは、大型ビジョンにこれまでの川口のキャリアを振り返る映像が映し出され、三浦知良、ジーコ、長友佑都、岡田武史のメッセージが流れる。この日の相模原ギオンスタジアムには、1万2,612もの観客が訪れていた。大勢の報道陣も駆け付けた。「感謝の気持ちしかない」と川口は静かに語る。家族から花束を贈呈された時には、顔をくしゃくしゃにして涙を流した。
 
「1-0というキーパーにとっては理想的なスコアで終わることができた。キャリアの最後に、こういう終わり方ができたし、これだけ多くのサポーターの方々が足を運んでくれて、僕は本当に幸せ者だと改めて思いました」
 
 川口は「まだ余力はあります」と話す。その余力を用いて「別の立場で、日本サッカー界の発展に貢献していきたい」と今後のサッカー人生を歩む決意を示し、25年間の現役生活にピリオドを打った。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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