【鳥栖】痺れるくらいにストイックだ!残留に導いた権田修一が抱くのは強烈な後悔

2018年12月02日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

そもそも最終節まで残留を争うこと自体が受け入れがたい

今季は低迷する鳥栖のなかでハイパフォーマンスを続けた権田。鹿島戦後には、サポーターから「ありがとう!」と激励されていた。写真:田中研治

[J1リーグ34節]鹿島0-0鳥栖/12月1日/県立カシマサッカースタジアム
 
 33節終了時点で15位にいた鳥栖は、最終節の鹿島戦をドローで終え、J1残留を決めた。
 
 試合後、ほとんどの選手がホッとひと安心したような表情を見せるなか、加入2年目の権田修一は違った。このGKに笑顔はなく、その口から出たのは、安堵ではなく懺悔に近いものだった。
 
 鹿島戦で鳥栖は立ち上がりこそ勢いを持って仕掛けていき、勝利への執念を感じさせたが、後半に入ると敗戦のリスクを排除して、時間を消費していく戦い方にシフトしていった(鳥栖は引き分け以上で残留を決められた)。
 
「どうやったら鹿島に勝てるかというところから入りましたけど、絶対残留するのがチームとしての目標だったので、そこは現実的に勝点1を取りに行った」(権田)という鹿島戦の戦略はもちろん悪くない。結果的にその選択が奏功している。ただ権田にとっては、不本意だったはずだ。
 
 2012年にJ1に昇格してから、鳥栖は一度も降格せずに着実な補強で地盤を固めてきた。だからこそ進境著しい九州の雄が目指すべきはタイトル獲得で、それは今季開幕前にクラブが掲げていた目標でもあった。つまり「打倒・川崎」「打倒・鹿島」を目指していたはずなのだ。
 
「今日の試合、この結果を、選手とスタッフ全員が満足しないこと。それが一番大事なのかなと思いますね。残留は決まったけど勝点3は取れなかった。内容的にも勝てた試合かと言えばそうではないですよね。じゃあどうしたら伝統ある鹿島から勝点3を取れたんだろうと考えないと」
 
 今季のJリーグは例年以上に熾烈だったが(最終節を終えて12位から16位の5チームが勝点41で並ぶ)、リーグ戦残り5節の時点でマッシモ・フィッカデンティ監督から金明輝監督へと交代して以降は、その後3勝2分と無敗で駆け抜けた。激しいサバイバルをかろうじて勝ち抜いた鳥栖にとってはしかし、そもそも最終節まで残留を争うこと自体が受け入れがたいことではないだろうか。

次ページ「この順位で充実感を持っていたらサッカーを辞めたほうが良い」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事