「あ、これはやばいな」昌子源が抱いたF・トーレスの脅威

2018年12月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「くっ付いたらやられるなと思った」

鳥栖戦でF・トーレスと相まみえた昌子。マッチアップの回数は多くはなかったが「楽しかった」と振り返った。写真:田中研治

[J1リーグ34節]鹿島0-0鳥栖/12月1日/県立カシマサッカースタジアム
 
 鹿島アントラーズは12月1日、J1の最終節でサガン鳥栖と対戦。どちらも最後までゴールを奪うことはできず、結果は0-0の引き分けとなった。
 
 ひとつの注目ポイントは、日本代表DFの昌子源と、元スペイン代表FWのフェルナンド・トーレスのマッチアップだった。
 
 鹿島が完封できた一因は、F・トーレスに決定的な仕事をさせなかった昌子の懸命な働きがあったからだろう。ただ冷静な対応で相手のエースを抑えてみせた昌子だが、少なからず脅威を感じていたようだ。
 
「顔が小さくて、そんなにガッチリしている感じはなかった。全盛期のプレーをそんなに知っているわけではないけど、スピードがあるイメージは持っていた。でもファーストプレーで後ろからアプローチに行った時に、『あ、これちょっとやばいな』と。強くて。クサビに入るとボールがずっと見えなかったんですよ。『これまでやってきた選手と違うな』と2回目くらいのプレーで気づいて、そこからいろいろと工夫をして対応を変えました。もう年だ、とかいろいろ言われていて、もちろん全盛期に比べたらスピードとかは落ちているかもしれないですけど、身体を当ててくるタイミングは凄かったなと感じましたね。本当に楽しかったですね」

 昌子が感じたのは、強靭なフィジカルと巧みなボールキープ。立ち上がりの数回のマッチアップで、F・トーレスのこの力量を感じ取り、寄せ方を変えたという。
 
「前半の中盤頃くらいのシーン。身体をぶつけられて、一瞬でスペースを作られたんです。すると、くるっと前を向いてドリブルを仕掛けてきたんですよ。そこで、くっ付いたらやられるなと思ったので、わざと距離を置いてトラップをさせて、そこを狙おうと。そうしたいろんなトライをしていました」
 
 激しくぶつかり合う場面こそ少なかったものの、相手の特長をすぐに捉えて対応を変える昌子の判断力は素晴らしかった。一方でこんなことも語っていた。
 
「ゴール前で必ず仕事をするフィニッシャーというイメージを持っていたんですけど、それとは違った。鳥栖さんのサッカーもあるだろうけど、ボールをピックアップしたりとか、決定的なパスを出そうとしたりとか、そういう役に回っているのかなと感じた。もう少しボックス内での勝負も楽しみたかったというのも正直なところです」
 
 2016年のクラブ・ワールドカップや、今年のロシア・ワールドカップで世界的なFWと対戦経験を積んだ昌子にとって、世界トップクラスのストライカー、F・トーレスともバチバチとやり合いたかったというのが、本音かもしれない。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWeb編集部)
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