【セルジオ越後の天国と地獄】アギーレは特別ではない。過度の期待は禁物だ

2014年08月14日 週刊サッカーダイジェスト編集部

盲目的に4年間を託せば同じ轍を…。

「噛みつくべきところは噛みつき、協会の体質改善を」と、セルジオ氏はアギーレ監督(左)に期待する。 (C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト8.26号(8月12日発売)より
 
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 いよいよロシア・ワールドカップへのスタートを切るわけだけど、最初に言っておきたいのは、アギーレ監督に過度の期待をすべきではないということだ。
 
 ワールドカップで二度、メキシコ代表をベスト16に導いたという経歴がクローズアップされているけど、日本よりも力のあるメキシコを率いて二度ともベスト16の壁を破れなかったとも言える。日本をベスト8に導ける保証なんてどこにもない。
 
 クラブレベルでも、ビッグクラブを率いた経験がなければ、大きなタイトルを獲ったこともない。世界的に見ても、特別な監督とは言えない。ザッケローニの時のように、盲目的に4年間を託してしまうと大失敗を招く可能性がある。
 
 これまでの日本代表の歴史を振り返ると、監督就任から2年が過ぎた頃からマンネリ化が生じ、チーム作りが停滞する傾向がある。その結果、ドイツ大会も、ブラジル大会も惨敗に終わっている。4年間を任せるのが既定路線のようになっているけど、今回こそ、その都度その都度ノルマを設定し、ダメなら途中で更迭すべきだ。でないと、ブラジル大会と同じ轍を踏むはめになるよ。
 
 一方、アギーレ監督に期待したいのは、世代交代を積極的に推し進めることだ。
 
 ザッケローニは岡田ジャパンの主力をそのまま起用してきたものだから、主力が軒並み高齢になってしまった。現在、遠藤は34歳、川島は31歳、長谷部は30歳、本田と岡崎は28歳、長友は27歳だ。
 
 世代交代に着手せず、4年前のメンバーを引っ張った以上、絶対に結果を出さなければならなかったブラジル大会で惨敗したわけだから、今はなにも残っていない状態だ。まさに空白の4年間。そうしたチームを引き継ぐからには、アギーレ監督には8年前にオシムがしたようにメンバーの大幅な若返りを図ってもらいたい。
 
 もうひとつ期待したいのは、日本サッカー協会のイエスマンになってくれるな、ということ。ザッケローニは物分かりがよかっただけに、協会となあなあの関係で、なんの改善も、改革もなされなかった。
 
 報道によると、アギーレ監督にはエキセントリックな一面があるようだね。トルシエやオシムのように主張すべきところは主張し、噛みつくべきところは噛みつき、日本サッカー協会の体質を改善してほしい。

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