「大谷翔平がGKをやっていたら…」権田修一が描く“日本人GK界”の青写真

2018年11月28日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

GKに憧れる子がどんどん減ってしまう。そういう危機感はかなり強い

鳥栖で奮闘する権田。チームの残留とともに、大きな使命を秘めている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 今季思わぬ低迷を強いられた鳥栖でひと際眩い輝きを放っているのが、ビッグセーブを連発している、GKの権田修一だ。32節終了時点でリーグ4番目に少ない34失点に抑えられているのは、この守護神の奮闘があるからだろう。

 鳥栖の絶対的な守護神として活躍し、森保一体制の日本代表ではコンスタントに招集され続けている権田だが、その胸中には大きな使命を抱いている。

「日本人GKの繁栄に少しでも貢献したい」

 その想いは、危機感からくるものだった。

「今、海外組の代表どころと言えば誰が挙がりますか。香川真司選手、長友佑都選手、中島翔哉選手、吉田麻也選手、酒井宏樹選手とかですよね。GKでは川島永嗣選手がすごく頑張っているとはいえ、やはり話題になるのはフィールドの選手。宏樹選手がヨーロッパリーグで準優勝したり、長友選手がチャンピオンズ・リーグに出場したり、他にも中島選手がポルトガルの月間MVPになったり、堂安律選手が(キリアン・)エムバペと同じく若手の賞(コパ・トロフィー/フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が創設した21歳以下の最優秀選手に贈られる賞)にノミネートされたりとか。子どもたちが憧れるのはそういった世界的な活躍をしている選手です。GKもその中に入らないと。僕、東口順昭選手、シュミット・ダニエル選手、中村航輔選手、西川周作選手、先輩の川島選手、誰でもいい。そうしなければ、GKに憧れる子がどんどん減ってしまう。そういう危機感はかなり強いです」
 
 権田が憂うのは、日本人GKの衰退。日本では、フィールドプレーヤーに比べ、どうしてもGKが注目される機会は少ない。ただでさえ、Jリーグでも実力派の外国人GKが流入してきており、日本人GKの出番がますます減ってきている。

「だからこそ、GKを始める子を増やさないと。日本人は世界的に見ても身体が小さいけど、最近は野球界で言えば、大谷翔平選手、ダルビッシュ有選手、ソフトバンクの柳田悠岐選手みたいに骨格がしっかりしているアスリートが育ってきています。もし彼らがサッカーを選んでGKをやっていたとしたら、凄そうじゃないですか。だけど、そうした体格に恵まれた子が、野球など他のスポーツに流れてしまっているのが今の日本。この国でGKをやっている以上、その現状を変えることも僕の使命だと自覚しています」

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