Jを席巻するドリブラー、チャナティップの原点。「将来はマラドーナのような選手に」と父は言った

2018年11月23日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

海外スターの映像を見ながらトレーニング。とりわけ父はマラドーナが好きだった

今季28試合・7得点の結果を残しているチャナティップ。その俊敏かつテクニカルなプレーの原点について語ってくれた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 32節を終えて、札幌がACL出場圏内に迫るリーグ4位につけると予想した人は少ないはずだ。チームを前線で引っ張るのは、158センチの小柄なドリブラー。そのプレースタイルから"タイのメッシ"の異名を取るチャナティップは今シーズン、チームとともに大きな飛躍を遂げているが、対戦相手の脅威となるその技術はいかにして身に付けたものなのか――。
 
 タイでのプロキャリアは華々しいものだった。2012年に国内屈指の名門、BECテロ・サーサナで18歳の時にプロデビューを果たすと、いきなりタイ・プレミアリーグの年間最優秀若手プレーヤー賞を受賞。同年にはA代表デビューも飾った。東南アジアナンバーワンを決めるスズキカップでは、14年・16年大会と2大会連続でMVPに輝き優勝に貢献。16年にはムアントン・ユナイテッドに移籍し、現在Jリーグで活躍するタイ代表のティーラシン(広島)やティーラトン(神戸)とともにドリームチームを結成すると、17年のACLでは今季アジア王者となった鹿島を破る立役者ともなった。
 
 まさに破竹の勢いでJの舞台に乗り込んだチャナティップだが、そのプレースタイルの原点は父親とのトレーニングのなかにあったという。
 
「小さい頃から、ずっと父とボールを蹴ってきました。それが僕のサッカー選手としての始まり。もちろん、そこからプロ選手になるためには、上手くなりたい、成長したいという気持ちとともに努力が必要でしたが、ただやはり今の自分があるのは、父との関係が大きいでしょうね」
 
 自身もアマチュア選手としてプレーしていた父のもとで、チャナティップは「だいたい4歳ぐらいから」ボールを蹴り始め、いろんなキックやテクニックを教わっていく。そして当時、父がよく見せてくれたのが海外スターの映像。ジネディーヌ・ジダン(元フランス代表)、ロナウド(元ブラジル代表)、そしてディエゴ・マラドーナ(元アルゼンチン代表)のそれだった。
 
「本当によく、そういう選手たちの映像を見ながら練習しましたね。なかでも、父はマラドーナが大好きで、練習の時にも『将来はマラドーナのような選手に育てたい』と言っていたくらいなんです」
 

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