散々な1年を送ったドイツ代表のわずかな光明――未来を担う若者たちのクラブでの成長に要注目!【現地発】

2018年11月23日 中野吉之伴

オランダ戦の大敗によって一気に世代交代へ

NL最終戦のオランダ戦、ドイツのプレーは悪くなく、残り5分を乗り切れば快勝と言える内容だったが、その一方で危ないかたちで自らボールの失う場面も散見し、それが命取りにもなった。写真は同試合の終了後。 (C) Getty Images

 ドイツ代表の2018年は、散々だった。
 
 王者として迎えたロシア・ワールドカップでは、歴史上初めてグループリーグ敗退という大きな痛手を負っただけでなく、今年行なわれた代表戦13試合のうち、勝利はわずかに4勝で得点数は14。17年の戦績が同じく13試合で11勝43得点だったのと比べると、同じ国の数字とは思えないほどだ……。
 
 立て直し・巻き返しを図るべき臨んだUEFAネーションズ・リーグ(NL)では、1勝もできないまま最下位でリーグBへの降格が決定。せめて最後の試合で勝利し、来年に向けて良い感触で得られるようにと願って臨んだオランダ戦も、2-0とリードを奪いながら終盤の5分間に2点を失い、引き分けに終わった。
 
 来年開催されるEURO2020予選でも、ドイツはポット1に入れないことが決定している。
 
 それでも代表監督のヨアヒム・レーブは、オランダ戦後の記者会見で開口一番、こう語り出した。
 
「結果はネガティブなものになったが、それよりもポジティブなものが多く見られたと思う。特に前半は、攻撃がとてもうまくいった。アイデアがあり、スピードがあった。後半にもあった2、3度のチャンスを活かせていたら……。
 
 最後の10分間で少し不安定になって2失点したのは、この若いチームにとって苦い結果になった。こうした試合をしっかりと締めることが、重要なのだ。だが、今後に向けて構築していけるパフォーマンスだったと思う」
 
 当初、レーブ監督はマヌエル・ノイアー、マッツ・フンメルス、トーマス・ミュラー、トニー・クロース、ジェローム・ボアテングといった主力選手への信頼を崩さず、「W杯で発揮できなかった、本来持つパフォーマンスを、彼らはまた引き出してくれるはずだ」と、常に口にしていた。
 
 そして9、10月の代表戦では、半分以上のスターティングメンバーが、これまでの黄金時代を築いた選手で構成されていた。
 
 だが、10月のNLオランダ戦を0-3で落としたことで、一気に世代交代への決断を下すこととなった。
 
 11月に行なわれた国際親善試合のロシア戦と、NLオランダ戦で先発出場したこれまでのレギュラー選手は、ノイアー、フンメルス、クロース、そしてヨシュア・キミッヒの4人だけである。
 
 FWには、セルジュ・ニャブリ、レロイ・ザネ、ティモ・ヴェルナーが起用され、他にも両WBにティロ・ケーラー(右)とニコ・シュルツ(左)、CBにはニクラス・ジューレとアントニオ・リュディガーが配置された。
 
 若き選手はチームに躍動感をもたらし、ベテラン勢はオーガナイズをコントロール。システム的にもDFラインは3バックが採用され、守備組織の最適化に努めた。

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