「日本代表史における革新的な進歩だ!」英国誌記者が森保ジャパンの全5試合を徹底査定!

2018年11月22日 マイケル・プラストウ

溜めに溜めたエネルギーが巨大なうねりとなって

キルギス戦の終盤、日本は攻撃のカルテットを総入れ替え。南野(左)や大迫(右)が自在のアタックを繰り広げた。写真:徳原隆元

 それにしても日本代表の2018年は、なんと慌ただしかったことか。

 ロシア・ワールドカップ前にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が更迭されて、西野朗新政権が発足した。急転直下のドタバタ劇で、なかなか本大会に向けて明るい展望は描けなかったものだが、結果はご存知の通りだ。世界を驚嘆させる華やかさと散りっぷりで、ロシアの地に確かな爪痕を残した。

 あの熱狂から2か月後、サムライブルーは新たなタームに突入する。本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、長谷部誠といった歴戦の勇士たちが不在のなか、大胆な世代交代に踏み切るのだ。陣容のほぼ半分が様変わりし、吉田麻也、大迫勇也、長友佑都、酒井宏樹らの古参組と、中島翔哉、堂安律、南野拓実ら飛ぶ鳥を落とす勢いの若き逸材たちがどう絡んでいくのか。あまりにも未知数で、これは長い目で見ていかなければと思っていたが、とんでもない! 新世代が猛烈なスピードで台頭を果たし、日本代表の歴史を振り返っても例がないほど、鮮やかなスタートを切ったのである。

 まったくフットボールとはなにが起こるか分からないと、あらためて実感させられる半年間だった。

 
 なにはともあれ、森保ジャパンである。4勝1分けという結果は言うに及ばず、15得点・4失点という数字が素晴らしければ、攻守両面におけるアグレッシブなスタイルもまた、ポジティブな印象を与える。

 勝利したコスタリカ、パナマ、ウルグアイ、キルギスはいずれもレベルの違いこそあれ、なかなか骨のある相手で、はるばる日本まで来たというのにモチベーションも高かった。いろんな大陸のいろんなタイプのチームを相手に、しっかり勝利した。攻撃性を貫いて勝ち切ったことが、チームを勢いづかせる大きな弾みとなったのだ。

 代表チームが新たに発足する場合は、どこかで不安がつきまとい、選手同士で互いに様子を見るところがあってもおかしくない。だがこのチームの面々にはそんな素振りは皆無だ。9月、北海道地震の影響で初戦のチリ戦が中止となり、溜めに溜めたエネルギーを誰もが続くコスタリカ戦にぶつけた。これが巨大なうねりとなって、選手個々の途轍もないファイティグスピリットを引き出し、いまに至る強力なアピールに繋がった。そして勝利を重ねることによって、さらに駆動力を得たのである。
 

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