【キルギス戦|戦評】低調に終わった“アピール合戦”。表面化したのはチーム内のレベルの差だった

2018年11月21日 本田健介(サッカーダイジェスト)

サイドからの攻略を狙うも奏功せず

キルギス戦は4-0で勝利。しかし最終的には中島(10番)らレギュラー組の活躍が光る結果となった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2018]日本 4-0 キルギス/11月20日/豊田スタジアム
 
 4-0。スコアだけを見れば快勝と言えるだろう。だが、相手との実力差を考えれば、諸手を挙げられる勝利ではなかった。特に来年1月のアジアカップのメンバー入りを懸けた争い、そして選手層に厚みを加えるための戦力探しに重きが置かれた一戦だったことを考えれば、残念な結果だったとも捉えられる。
 

 確かにA代表初出場となった山中亮輔は開始2分に豪快な一発を決め、原口元気はGKのミスはあったとはいえ直接FKを突き刺した。ただ、ともにその後に目を見張るプレーがあったかと言われれば、否定せざるを得ず、結局ゲームを決める3点目、4点目を奪ったのは大迫勇也と中島翔哉というレギュラー組だった。
 
 森保一監督は前日会見で公言していたとおり、キルギス戦のスタメンは、11月16日のベネズエラ戦から総入れ替えした。GKに権田修一、4バックは右から室屋成、三浦弦太、槙野智章、山中、ダブルボランチは三竿健斗、守田英正、中盤2列目は右に伊東純也、左に原口元気、2トップはやや下がった位置に北川航也、1トップ気味に杉本健勇という並びになった。
 
 2分に山中、19分に原口のゴールで2点のリードを得た日本は、相手のプレッシャーの緩さも手伝い、その後もボールを保持してハーフコートゲームを続けた。
 
 しかし縦へのボールがなかなか入らず、攻撃のスピードが上がらない。ボランチの三竿は「相手は引いていましたし、縦に入れたかったんですが、そこは相手も狙っていたので焦れずに横に振りながら攻めました。監督も無理して入れる必要はないと言っていました。両サイドから崩そうとの意識は共有できていました」と振り返る。
 
 もっとも両SBの室屋と山中を高い位置に押し上げてサイドからの攻略を図るも、攻撃はどこか単調で、なかなか次の1点を奪えなかった。
 
 一方、59分に大迫勇也、堂安律、柴崎岳を投入すると攻撃にスピードが増し、72分には大迫勇也が3点目を奪う。直後には出場したばかりの南野拓実から堂安につながり、最後はこちらも投入直後だった中島翔哉がネットを揺らし、試合の趨勢を決定づけた。それは皮肉にもレギュラー組の質の高さを改めて際立たせる結果となった。
 

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