【鳥栖】異例の監督交代劇は、首位チームに何をもたらすのか――

2014年08月08日 サカクラゲン

監督交代に踏み切らせた「ビジョン」の相違。

18節終了現在で首位を走る鳥栖がユン・ジョンファン監督との契約を解除。異例の監督交代劇となった。(C) SOCCER DIGEST

 18節終了時点で首位を走る鳥栖が、ユン・ジョンファン監督を8月7日付で契約解除した。多くの憶測を呼ぶなかで、8日にクラブハウスで永井隆幸強化部長が会見を行なった。リーグ戦半ばにしての監督交代劇――。ここで勢いを落とすわけにいかない鳥栖のこれからについて、3つのポイントから考察した。
 
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1 監督交代劇の「なぜ」
 
 永井強化部長が会見中に何度も強調し、繰り返したのが「お互いが話し合って納得した」うえでの決断ということだった。結果的に、19節の広島戦の直前という微妙なタイミングではあったが、「解任」でも「辞任」でもなく、「契約解除」となったのはそういうわけだ。
 
 今回の騒動は、今後チームをどのように発展させていくか、という部分でクラブ側とユン・ジョンファン前監督との間に多少の相違があったことが、発端となっている。ただし、クラブとユン・ジョンファン前監督が目指す方向性に大きな違いはなかったようだ。
 
 現段階でクラブは、どのような将来的ビジョンを描いているのか。それについて、永井強化部長は多くを語らなかった。ただ、今回の契約解除は「優勝して、ACLに出るため」(永井強化部長)の決断であると言い切った。
 
 優勝とACL出場は、現時点で十分に実現可能なターゲットだ。吉田恵新監督をコーチから昇格させたのはそのためであり、今季は現在のスタイルを継続しながら、来季以降については改めてビジョンを模索していくことになるだろう。
 
 ここが潮時と熟慮を重ねた末の契約解除という結論だ。多くの疑問点を残してはいるものの、鳥栖は新たな道を歩み始めた。結果にのみ執着せず、そこに至るまでの過程にこだわったクラブの判断であることは間違いない。

次ページ現在のスタイルをベースにさらなる進化を求めていく。

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