森保ジャパン発足から2か月半。競争原理のなかに見えてきた「序列のメカニズム」

2018年11月13日 飯間 健

負傷者に対しては序列が下がる傾向に

日本代表を率いる森保監督。アジアカップへの仕上げとなる11月シリーズでは、いかなる戦いを見せてくれるだろうか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 3度目となる森保ジャパンの合宿が11月12日、大分県内でスタートした。新体制発足から2か月半、のべ34選手を招集。森保一監督は、「これまで以上の成長が感じられるようにしたい。アジアカップに向けて良い戦いがしたい」と来年1月にUAEで開催されるアジアカップへ向けて総仕上げに入ることを示唆した。アジアの覇者を決める大会で、サムライブルーのユニホームに袖を通すのは誰なのか。16日のベネズエラ戦(大分)、20日のキルギス戦(豊田)を迎えるにあたり、ここまでの選考基準をおさらいしたい。

 
 端的に言えば、森保監督は純粋な"競争原理"を導入している。
 
 ロシア・ワールドカップの主力メンバーが選出を見送られた9月。海外組はリオ世代以下に限定され、東京五輪世代の堂安律(フローニンヘン)や伊藤達哉(ハンブルク)、冨安健洋(シント=トロイデン)らフレッシュな3選手が入った。初陣のチリ戦は北海道胆振東部地震で中止になるアクシデントに見舞われたが、コスタリカ戦は3-0の快勝。そこで得点を挙げた南野拓実(ザルツブルク)、伊東純也(柏)、オウンゴールを誘発した佐々木翔(広島)らは継続的に代表選出されている。
 
 一方、キレ味抜群のドリブルでドイツ国内を席巻した伊藤達哉は「練習でパフォーマンスが上がらなかった」と振り返ったように、トレーニングで"違い"を見せつけることはできず。コスタリカ戦の出場機会もなければ、その後の10、11月シリーズにも呼ばれていない。
 
 また負傷辞退者に対しては、序列が下がる傾向にあると見える。9月は山口蛍(C大阪)、大島僚太(川崎)がメンバー発表後、そして活動期間中に杉本健勇(C大阪)が離脱。10月は浅野拓磨(ハノーバー)がメンバー発表後に負傷を理由に辞退した。また浅野の辞退を受けて追加招集を検討した武藤嘉紀(ニューカッスル)も足首痛で辞退せざるを得なかった。
 
 これは森保監督が負傷者を突き放す人物だからではない。逆に人一倍、気を遣う人物だからこそ、だ。選手が回復して、元のパフォーマンスに戻るには時間が掛かる。クラブでの立ち位置が微妙に変化する選手もいるだろう。まずベースは所属クラブ。その意味で格段の配慮がなされているという見方ができるが、それによって追加招集された選手(10月ならば北川航也=清水)が目に留まる活躍をすれば、必然的に辞退者に再チャンスが与えられる確率は下がる。
 
 過去、アジアカップ前ラストの親善試合メンバーからは3~6人が入れ替わっている。今回も同様だろう。当たり前だが結果と内容。そして中3日での連戦が続くアジアカップを勝ち抜くうえで、"無事これ名馬"も大前提となりそうだ。
 
取材・文●飯間 健
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