【仙台】自らの決勝点で古巣に引導を渡した石原直樹。それでも広島への想いは変わらず…

2018年11月12日 板垣晴朗

広島戦のリーグ戦勝利は2008年以来。カギを握ったふたりの元広島所属の選手

広島戦で決勝点を挙げた石原。試合後は古巣への想いを隠さなかった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 ベガルタ仙台は32節・サンフレッチェ広島に1-0で勝利。リーグ戦では6試合ぶりに白星を挙げ、トンネルを抜けた。敵地での広島戦勝利は、リーグ戦においては2008年のJ2時代以来(※カップ戦も含めれば2012年以来)。大きな勝点3だった。
 
 この勝利の立役者のひとりが、石原直樹。67分に鮮やかなコンビネーションから、この試合の決勝点を決めた。
 
 現在の仙台には広島所属経験があり、2013年にJ1制覇を味わった選手がふたり在籍している。ひとりは野津田岳人。仙台を中盤から支える存在だが、彼は期限付き移籍のため契約上の理由からこのカードに出場することはできない。キャンプ中の2月10日に行なわれた練習試合で広島戦と対戦した時にはアシストを記録し、5月12日の14節の対戦時にも「出たかった」と話していた野津田。渡邉晋監督は「何よりも本人が悔しいでしょうから、彼の想いも背負って、パワーに変えられれば」とその想いを汲んだ。
 
 その野津田は前回対戦を終え、外から見た今季の広島について「自分がいた時と戦い方は大きく変わりましたが、その中でも中心にいるのが青山(敏弘)選手。一発のパスで局面を変えられます」と印象を語っていた。広範囲を駆け回って攻守を支え、カウンター攻撃の起点となる長距離パスを出せる青山を押さえられるかどうかが、今節のひとつの鍵だった。
 
 そして迎えた、今回の対戦。相手にとっては優勝争いに踏みとどまれるかどうかが懸かっており、タフな一戦が予想された。その中で仙台が採った策は、まずは初期配置を前節の3−4−2−1から3−5−2に変えること。これは14節の前回対戦でも採用していた。渡邉監督は「ファーストDFを明確にすること。また、前回対戦で我々は敗れはしましたが、我々の立ち位置に広島さんは相当困っていたと思った」と、試合後にその理由を説明した。
 
 その"ファーストDF"として効いていたひとりが、もうひとりの元・広島の選手、石原だった。
「(広島は)パトリック選手にアバウトなボールを蹴ってくるイメージがあったので、そのセカンドボールを拾えるよう意識していました」
 
 相手CBにプレッシャーがかかりきらず蹴られたとしても、そのこぼれ球に対してもチェックを怠らなかった。
「青山選手のところを見ることができました。いい場所に立たれるといいボールを蹴られてしまうので、プレッシャーをかけられなくとも相手の視野に入る場所に入るなど、少しでも圧力のかけられるポジションに入ることを意識していました」と、野津田もキーマンに挙げていた中盤の要を押さえるべく、奔走した。
 

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