立田悠悟、金子翔太、そして北川航也――個々の成長に象徴される清水エスパルスの伸びしろ

2018年11月13日 前島芳雄

U-21代表の立田は、地道な努力で自分の課題を一つひとつ克服してきた

立田(左)、北川(中央)、金子(右)らの成長が、チームの実力アップに直結している。(C)SOCCER DIGEST

 0-2で清水エスパルスが名古屋グランパスを下したこの試合を、もっとも短く総評すれば、どちらが決めるべきところを決めたかが勝敗を分けたゲームと言える。

 先制点を決めた日本代表の北川航也は90分を通してシュート1本のみで1点を決め、ドウグラスもシュート2本で1点。名古屋のパス回しによって我慢の戦いを強いられた清水だったが、ワンチャンスを決めきる力を持つストライカーがふたり揃っていることが、今の大きな強みとなっている。

 そして、その2点を両方とも右足のクロスでアシストしたのがもうひとりの日本代表、すなわちU-21代表の右サイドバック立田悠悟だった。
 
 昨年清水ユースから昇格した立田は、189センチの長身(現在は190センチを越えている模様)やパスセンスに恵まれた地元・静岡市清水区出身の逸材。本職はセンターバックだが、今季はヤン・ヨンソン新監督に開幕から右サイドバックとして起用され、ここまで24試合・1得点。怪我から復帰した飯田貴敬にポジションを譲った時期もあったが、下を向くことなく自分自身を成長させて奪い返し、アジア大会から帰ってきた26節からは7試合連続でフル出場している。
 
 ただ、サイドバックは初めての経験なので、センターバックのフィードとは蹴り方が大きく異なるクロスのキックは、彼自身も大きな課題のひとつに挙げていた。止まって蹴るアーリークロスはまだしも、深く切り込んで走りながら蹴るクロスは未知の世界だった。そのため、これまでクロスからのアシストがなく、今節のユースの先輩・北川へのクロスが初アシストとなった。
 
「ピンポイントで合わせる速いクロスはずっと練習してきましたし、初アシストの相手が(北川)航也くんだったのでよけいに嬉しいです」(立田)
 
 思えば立田はこれまでも、地道な努力で自分の課題を一つひとつ克服してきた。1年目の昨年はプロとしての基盤作りに重点を置いて、全体練習とは別にフィジカルやフットワークの強化、ヘディングの強化などにじっくりと取り組んできた。阪倉裕二コーチ(当時)とマンツーマンでヘディングの居残り練習をしている姿は、三保練習場の日常風景になっていた。
 

次ページ今季初のヘディングでのゴールに北川自身も成長を実感している

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事