選手権出場の夢は叶わず…東海大相模の逸材・中山陸は悔しさを胸にプロの舞台へ

2018年11月04日 川端暁彦

怪我の影響で準決勝はベンチスタート

中山は桐光学園を相手に持ち味を発揮したが、ゴールはならなかった。写真:川端暁彦

 
 東海大相模高のMF中山陸にとって、等々力陸上競技場は家から近いこともあって何度も実際に訪れ、あこがれの大島僚太らが繰り出すプレーに心躍らされてきた場所なのだと言う。まさにその場所で行なわれた高校選手権の神奈川県予選・準決勝。東海大相模高は桐光学園高に0-4で大敗を喫し、全国への夢は断たれることとなった。

 
 悔いのない試合だったと言ったらウソになるだろう。選手権予選前に行なわれた滋賀県への遠征から感じていたという腿裏のハリは、10月2日に始まったU-17日本代表の合宿でより強い違和感となって現れていた。MRI検査の結果で内出血のあることが分かり、選手権予選にはギリギリ間に合うかどうかというラインだった。
 
 ヴァンフォーレ甲府への来季加入内定が決まり、9月5日のルヴァンカップ準々決勝第1戦では特別指定選手として出場し、決勝点を挙げる大活躍。選手権予選でも9月22日の2回戦では2得点・1アシストの大暴れを見せており、10月には日メコン交流大会を戦うU-17日本代表へ各年代を通じて初めて選出された。まさに日の出の勢いを思わせる中で、あるいは疲労も蓄積していたのかもしれない。
 
「(負傷明けから予選に合わせて)体力を上げないといけないとトレーニングをしていたら、今度は腿前にハリが出てしまって……。結局、(身体が戻っていないので)スタートからの起用は難しいという判断になった」(有馬信二監督)
 
 桐光学園高を向こうに回しての準決勝はベンチスタート。「自分のせいで怪我をして最初から出られず、チームに迷惑をかけてしまった」と肩を落としつつも、同時に「その分、後半からやってやろう」という意気込みもあった。だが後半9分、投入を待つ間にチームは2失点目を喫してしまい、0-2。中山が入ってくればという期待感も高まる中での失点は、心理的な部分を含めて「痛かった」(有馬監督)。
 
 それでも中盤中央の高い位置に陣取った中山は、要所で違いを作った。ボールを引き出してポイントになり、鋭いターンからスペースにボールを運び出し、意欲的にシュートも狙った。
 
 有馬監督は「本当に良いところを観ているし、正確だしね……」とそのプレーぶりを振り返りつつ、「でも彼の持っているものからすると、もっともっとできる。あの状態で今日くらいできるんですから、もしベストだったら、桐光さん相手でも2点くらい取っていたんじゃないかな」と思わず漏らした。「きっと伸びる選手だと思っていたけれど、ここまで伸びるとは思っていなかった」という自慢の教え子の本当の姿を、この注目されるステージでお披露目できなかったのを無念がった。
 

次ページ「プロ1年目からしっかり勝負していきたい」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事