イニエスタ&ポドルスキを輝かせた“奪えない守備”… J1残留へ待ったなしの名古屋が待ち過ぎている!

2018年11月04日 今井雄一朗

風間監督は常々「ポジションとは守備の時に戻る場所」と定義づけているが…

前半は神戸に一方的に押しまくられた名古屋。イニエスタも余裕を持って前を向いてプレーできていた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ31節]名古屋1-2神戸/11月3日/豊田ス
 
 フォーメーションはあってないようなものとするチームが、ポジショニングの呪縛に囚われている。2戦連続で1-2の敗戦を喫した背景にはそうした側面を認めざるを得ない。前節の札幌戦ではまだ一端を見せるにとどまっていたが、よりポゼッション力に優れる神戸の攻撃を受けたことで顕在化。まるでゾーンディフェンスのように相手を待ち構えた名古屋の選手たちはしかし、ボールと人の動きを追いかけてばかりでなかなか"守備"をしようとはしなかった。その姿に、8連敗を喫した序盤のチームの動きを重ねた人もいたかもしれない。
 
 前節までの2試合で採用し、形になろうとしていた3-4-3を突如捨てた風間八宏監督は、櫛引一紀を右サイドバックに、金井貢史を左サイドバックに配置する4-4-2を採用し神戸を迎え撃った。しかし中盤を厚くした4-3-2-1で臨んできた相手に対し、要の中盤が数的不利に陥って策は不発。
 
 一方、運動量と守備力、そして構成力も併せ持つ神戸の藤田直之、三田啓貴、伊野波雅彦の3センターは勤勉に働いてイニエスタとポドルスキに自由を提供し、最前線の古橋享梧のスピードを牽制に使いつつワイドで伸びやかなポゼッションサッカーを展開した。ショートパス過多のビルドアップをことごとくプレスで阻まれた名古屋と違い、神戸はミドルレンジのフィードやサイドチェンジを有効に使って戦況を操り、守ってはこの日がデビュー戦となった前川黛也が気迫のセーブでピンチをしのいだ。前川はフィードをはじめキック精度でも光るものを見せ、前線から引っかけていきたい名古屋の思惑に肩透かしを食わせてもいる。
 
 だがこの日の名古屋の何が悪かったのかと言えば、前述の通りボールを奪えない守備だった。風間監督は常々「ポジションとは守備の時に戻る場所」と定義づけており、「一人で二人を見る守備の技術」といった独特の教えを実行させるべく、まずはポジションに戻って相手を自分の視野に入れることを強く求める。しかるべきポジションを取って状況を見極めたら、次はボールを奪いに行くわけだが、この日の名古屋の選手たちは戻って相手を見た時には相手の得意とするポゼッションが順調に組み立てられていた。しかもその中心にはイニエスタとポドルスキである。
 

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