FとJの舞台で躍動する“上福元ブラザーズ”の兄弟愛「兄に送る言葉? それは勘弁してください(笑)」

2018年11月02日 佐々木裕介

今季、東京で活躍していた兄が大分へ、大分で活躍していた弟が東京へ

左が弟の上福元直人(東京ヴェルディ)、右が兄の上福元俊哉(バサジィ大分)。ともに今季はJとFの舞台で活躍を見せている。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)/写真提供:バサジィ大分

 フットサル(Fリーグ)とサッカー(Jリーグ)、それぞれのトップリーグで頑張る兄弟の話である。
 
 兄・俊哉(F1・バサジィ大分/FP)と弟・直人(J2・東京ヴェルディ/GK)の"上福元ブラザース"、3歳違いの兄弟だ。高校、大学と同じ名門校(市立船橋高→順天堂大)サッカー部に籍を置き、共にプロサッカー選手を目指した。

 
 弟・直人は大学在学中に特別指定選手としてプレーした縁で大分トリニータへ加入し、夢見たプロサッカー選手となる。
 
 兄・俊哉は、高校最後の選手権では中林洋次(広島)や渡邉広大(山口)らと準優勝を経験(決勝で鹿児島実にPK戦で敗戦)。しかしJリーガーへの階段を順調に上っていた大学3年時に大怪我(膝前十字靱帯断裂)を負い、1年を棒に振ってしまう。これがひとつの区切りとプロサッカー選手になる夢を諦めてしまうのだが、弟のプロ契約が刺激となり、フットサルの世界へ身を投じ、Fリーガーとなって日々奮闘している。
 
 今年1月、直人は延べ5年を過ごした大分に別れを告げ、東京行き(大分から東京Vへ移籍)を決心する。しかし3月、今度は俊哉が6年住んだ東京から大分へ移籍を決断(立川府中アスレティックからバサジィ大分へ移籍)。蹴神の悪戯なのか、兄と弟は互いの戦いの舞台へと移籍し、"すれ違い"を経験することになるのだ。

 
 興味を持ったきっかけは、今季Fリーグ開幕戦だった。バサジィ大分でキャプテンを任された俊哉は、監督と共に出席した試合後の公式会見終了後に"挨拶回り"を断行する。会見を聞いていたメディア一人ひとりへ自ら歩み寄り握手を求めたのだ。筆者にとっては"初めての儀式"に一瞬たじろいだ。しかしそれは、いずれ興味へと変わる。彼について調べてみると、実の弟もフットボーラーだと分かる。面白いじゃないかと。
 
 興味が湧くと直接、話を聞きたくなるものだ。彼らが活躍する現場へと向かい、敢えてまったく同じ質問を両者へぶつけてみた。
 
 直人はこんな感じだ。
 
――幼少期から大学卒業までの歩みは、兄弟ほぼ一緒、何かあったのですか?
「いつも私の先を歩んでいた兄は目標であり大きな存在でした。追い掛けてきたのは事実、尊敬しています。まぁ恥ずかしくて面と向かって話したことはないんですけどね(笑)」
 
――弟がJリーガー(プロ選手)になったことで刺激を受け、俊哉さんは"兄としての威厳"を保ちたく、フットサル選手になる目標を立てて挑んだようですが。
「幼少期から兄の背中を追い掛けてきた自分からすれば、自分が成長出来たのは兄のおかげであって、その姿を兄がリスペクトしてくれたというのであれば、すごく嬉しく思います」
 
――大分で頑張るお兄さんへ、送る言葉をお願いします。
「時々、兄の試合を観に行くんです。今まで同様、お互いプレーで刺激し合いたいので、言葉は勘弁してください(苦笑)」
 

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