まるで大先輩・中田英寿のように。齊藤未月が日本の中心でU-20W杯へ導く

2018年10月29日 塚越 始

6万を超えるインドネシアサポーターを前にしても、齊藤は泰然と構えて戦い続けた

U-19日本代表を力強くリードしたキャプテンの齊藤。試合後は安堵の気持ちを吐露した。写真:佐藤博之

 U-19日本代表の心臓部となるボランチのポジションで、齊藤未月がキャプテンマークを巻いて戦った。U-19アジア選手権準々決勝のインドネシア戦。強い雨が降りしきるなか、勝利が決まった瞬間、ピッチ上の選手、そしてベンチから飛び出してくる選手たちと抱き合い、歓喜の雄叫びを上げた。
 
 齊藤のコンディションは100パーセントではなかった。グループステージの段階では「80パーセントぐらい」。そして世界行きの切符の懸かった準々決勝のインドネシア戦に照準を合わせてさらに調子を上げてきた。とはいえ、右ひざにはしっかりテーピングが巻かれていた。
 
 一度接触プレーで倒れたときには周囲をヒヤッとさせた。だが再び立ち上がった彼はその後も高いテンションを保ち、最後までピッチに立ち続け、日本を勝利に導いた。
 
「前半を1-0で折り返せたのが良かったです。相手がすごく引いているなか、(東)俊希のロングシュートが入ったことが、僕たちにとっていい展開になってくれたと思います」
 
 齊藤はそう振り返った。
 
「後半相手に持たれる時間もありましたが、最後に身体を張ったり、シュートブロックしたり、そこはできていたので失点する心配はあまりしていませんでした。あと1点取れれば勝てると思っていて、そのような展開に持ち込めました(71分に宮代が2点目を奪取)」
 
 強まる豪雨。轟く雷。スタジアム全体で後押しする6万人のインドネシアサポーター。しかし、齊藤は泰然と構えて戦い続けた。
 
「特に焦れる感じではなく、(菅原)由勢のところを簡単に使って突破させようとしていました。無理に縦パスを入れても、(久保)建英とかも詰まっちゃうなと感じたので、由勢から崩すシーンを狙っていました」
 
 一つひとつのインドネシアの好プレーに、歓声や拍手が送られる。それでも、「そんなチャンスじゃないよと思っていて、慌てずできました」。どんなときも冷静さを失わなかった。
 
 とはいえ、インドネシアのホームアドバンテージは感じていた。そこには相当に気を配ったという。
 
「今日は少し足を出してボールを触っても、相手が転んだらファウルになるとか、身体を入れるだけでもファウルになってしまうところがありました。相手にセットプレーを与えるのは避けたかったので、自陣では球際にいけるシーンをそこまで作れませんでした。前線でも奪えるシーンはたくさんあったと思ったけれどできず、そこは改善点として残りました」

 そのような神経戦を余儀なくされた。それだけに試合終了の瞬間は歓喜よりも、「ああ、終わった」という安堵のほうが強くこみ上げたそうだ。
 

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