「浦和の7番を掲げているお客さんもいて...」加入1年目の梅崎司が目にした感動的な光景

2018年10月27日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

かつての本拠地で掴んだルヴァンカップ優勝に梅崎は…

飛びっきりの笑顔で声援に応えた梅崎。大会を通じて安定したプレーでチームを支えた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 今季、浦和から加入した梅崎司は最高の瞬間を味わった。10月27日のルヴァンカップ決勝で横浜を1-0で撃破。移籍1年目で掴んだ戴冠に、「勝者と敗者がいて、僕らはカップを掲げることができた。逆にマリノスさんは負けてしまいましたけど、それは何度も自分は経験をしてきた。やっぱり、勝ったものにしか味わえないものがある。その景色は本当に素晴らしいものでした」と優勝の喜びに浸った。
 
 梅崎は昨季まで10年間浦和でプレーし、今季から湘南に移籍。今季は2列目で輝きを放ち、得意のドリブルを武器に異彩を放っていた。ただ、梅崎のサッカー人生は苦難の連続で怪我に泣かされる時も多かった。

 とりわけ、2016年に負った大怪我は梅崎にとって忘れられない出来事だ。
 
 同年のルヴァンカップ準々決勝・第1戦。神戸との試合に先発出場していた背番号7は左膝の前十字靭帯を損傷し、長期離脱を余儀なくされたのだ。結局、チームは大会を制覇したが、この1試合しかピッチに立てなかった梅崎の心には嬉しさとともに優勝に貢献できなかった悔しさだけが残った。
 
 そうした状況で掴んだルヴァンカップ優勝。今大会では2016年とは異なり、グループステージから主軸として活躍し、終わってみれば11試合・4得点と確かな存在感を放った。
 
 しかも、かつての本拠地で優勝を決めたとなれば、喜びは格別。試合後にスタジアムを一周すると、浦和時代のユニホームを持ったファンもおり、梅崎はそれを見てさらにいろんな感情が湧いてきたという。
 
「格別ですね。今日も試合後にスタジアムを回っている時に浦和の7番を掲げているお客さんもいて本当に嬉しかった。そういう人たちに移籍した意味を見せないといけないといけないし、自分の中で誓ったところもある。今日、見せれたかは分からないですけど、ベルマーレの一員としてベルマーレのプレーヤーとして躍動する姿は見せられたのかなと。レッズサポーターにも少しでもそういうところを見せられたと思いますし、本当に良かった」 
 
 埼玉スタジアムで自身の価値を証明した梅崎は、心からサッカーを楽しんでいる。「成長できているなという感覚があります。サッカーを楽しくやれている時点で移籍して良かったなと思うし、タイトルを獲ればよりその思いが増すと思っていたので、それを実現できて良かった」と話した湘南の背番号7にとって、一生忘れられない日になったに違いない。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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