【小宮良之の日本サッカー兵法書】 強敵をも圧する「攻めながら守り、守りながら攻める」スタイル

2018年10月27日 小宮良之

ウルグアイ相手にも怯まなかった日本

積極性、強度、連動性を発揮して、近年の試合ではベストとも言える内容のプレーを見せたウルグアイ戦。この方向性を突き詰めていった先に、どのようなチームが出来上がるのか楽しみだ。写真は南野拓実。 (C) Getty Images

 10月16日、日本代表はFIFAランキング5位という「世界の強豪」ウルグアイを相手に真っ向勝負で戦い、4-3で勝利を収めた。これほど堂々と華々しく戦い、勝利した代表戦は、過去にどれだけあっただろうか。
 
「森保ジャパン」の戦いは、実に痛快だった。
 
 前へ、前へ――
 
 とにかく、ボールを前に運ぶ。縦パスを積極的につけ、そこに人が絡む。ドリブルでマークを外し、スペースを作り、そこに人が流れる。まるで、閉じた門扉をこじ開けるような迫力があった。
 
 ボールを失っても、鋭いプレッシングでパスの出どころを潰し、ミスを誘発。相手に好きなようにサッカーをさせない。奪ったボールは、そこを攻撃の再開地点とし、ウルグアイをひどく慌てさせた。
 
 確かに、後半の立ち上がりと終盤には、相手に押し込まれている。また、空中戦では分が悪かった。特に、セットプレーでは劣勢に立ち続けた。また、受け身に回った時(自陣深くまで攻め込まれた時)の脆さも出てしまっている。
 
 しかし、90分間を通じて日本とはウルグアイと互角以上に渡り合い、怯んでいない。
 
「チームとして、アグレッシブに戦うことができた。前線の選手たちはいずれも、チームを引っ張っていくという強い気持ちを見せてくれたと思います」
 
 森保一監督は、試合をそう振り返っている。
 
「守備では、入りから積極的に戦ってくれました。相手ボールを奪うためにチャレンジし、後手になることもありましたが、粘り強くやってくれたと思います。粘り強く対応できたのは、日本の良さだと思います」
 
 日本は攻守両面で、強度の高いプレーを続けている。例えば20分、ハーフウェーライン付近で得たスローイン。スロワーの酒井宏樹はクイックでスタートし、前を走る遠藤航へ。遠藤はこれをフリックパスで、前線でフリーになっていた大迫勇也の足下に入れる。これでGKと1対1になった大迫は、遠めから果敢にシュートを狙った。
 
 惜しくも得点にはならなかったものの、攻めに対する意識の高さが目立つプレーだった。

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