【U-19日本代表】「タケがやりやすいように」山田康太&久保建英の横浜ホットラインが大勝劇に導く

2018年10月26日 塚越 始

グループリーグ最終戦のイラク戦で攻守の要となった山田

大会への出発前にはともにF・マリノスのサポーターにアジア選手権への決意を述べていた山田(左)と久保。第3戦のイラク戦ではホットラインからチャンスが生まれた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 U-19日本代表の山田康太(横浜F・マリノス)がU-19イラク代表戦で今大会初先発し、1、2点目の起点となるパスを放つなど、5-0の勝利に貢献した。
 
 山田は4-4-2のボランチで先発。タイ戦(〇3-1)は後半開始から45分間プレーし、今回、2試合連続での出場に。すでに日本が1位でのグループステージ突破を決めていたが、対戦相手のイラクは準々決勝進出のため勝利が前提の状況だった。山田にとっては、自らの価値を示す場と貴重な機会となった。
 
「イラクは勝たないといけない状況で、前半はその圧力を受けてしまいました。ボランチ二人(東京ヴェルディの藤本寛也とのコンビ)の重心が下がってしまいましたが、そこから『効果的なパスを出していこう』と二人で話し合いながらできました。少しコントロールできない時間もありましたが、全体的に見れば上手くできたと思います」
 
 開始10分、山田のパスをFW原大智がキープ。その落としを久保がペナルティエリア内まで切れ込み、クロスを滝裕太(清水エスパルス)がヒールで流した。ボール奪取からの素早いサイドからの崩し。それは相手の弱点を狙うスカウティング通りの展開でもあった。
 
「ボールを奪ったあと、(イラクは)バランスがルーズになるという話を聞いていました。奪ったあと、前へパスをしっかりつけようと意識していたところ、上手くいって良きました」
 
 何より、右サイドハーフには横浜のチームメイトである久保が入っていた。
 
「タケに気持ちよくプレーをやらせてあげたいと基本的に考えていました。でも、タケが滝にアシスト1点目。あれ、(山田も詰めていたので)『自分にくれ』とめっちゃ声を掛けたんですけれどね。あとで、ごめんと言われました。次はしっかり出してもらおうと思います(笑)」
 
 山田はその久保とのバランスについて、「特に話し合ったわけではないですけれど、そこは感覚でやれています。あいつがやりやすいように、あいつがパスを出してほしいタイミングやテンポも分かっているつもりなので、そこに合わせて、上手くできればと思っていました」と語る。
 
ボール奪取からダイナミックに縦に推進力を与え、攻撃にも積極的に絡んでいけるのが山田の強みではある。ただ、この日はできるだけ、2トップ&攻撃的MF2枚のフォローを心掛けた。
 
 そして山田&久保のF・マリノスコンビが機能。まさに日本のホットラインとなって、推進力を生み、チャンスを作り出していったのだ。
 
さらに山田は2点目も起点にもなって、荻原のクロスから久保のスルー。そして田川が右足で決めた。
 
「前日練習でもそこのクロスからの崩しは意識しようとチーム全体で話して、そこが上手くいきました」
 
 周囲の特長を引き出すという裏方に回った山田。5-0の大勝だが、無失点勝利は今大会初めて。イラクも立ち上がりに決定機を作るなどレベルは決して低くはなかった。ビルドアップ面に加え、守備でも結果を残せたからだろう。試合後の山田の表情は晴れ晴れとしていた。
 
取材・文:塚越始
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