“湘南魂”見せないと怒られる!? U-19の頼もしきファイター、石原広教が気迫十分だったワケ

2018年10月23日 安藤隆人

事前のスカウティングの確かさが気迫あふれるプレーを促した

右サイドバックでタイ戦にフル出場した石原。気迫溢れるプレーで存在感を示した。写真:徳原隆元

 第1戦はベンチで戦況を見つめなければいけなかった。U-19日本代表のDF石原広教は慣れない右サイドバックのポジションに苦戦しながらも、チャンスの時を待っていた。

 
「僕はベルマーレで普段3−4−3の中盤の4枚のサイド(ウイングバック)をやっているので、4バックのサイドバックだといつもより1枚後ろで、自分が起点となりながらゲームを作って行かないといけない。いつもはワンタッチで前に行けるのですが、4枚だと自分のところから仕掛けて前に行くということがベースになるので、ボールを受けてから考えているのではなくて、常に先にアイデアを持っておくことが大事だと思いました。あとは距離感なども違うので、摺り合わせて行きたい」
 
 直前の国内合宿で石原はそう戸惑いながら、サイドバックというポジションへのアジャストを試みていた。そして、出番のなかった北朝鮮戦翌日の練習で話を聞くと、「サイドバックはまだちょっと戸惑いはありますが、だいぶ良くなりました。僕は周りの選手に声を掛けて、常に誰かが抜けたところのスペースを埋める守備は意識してやっていますので、自分が出たらそこのリスクのところや、周りの選手が抜けたところを埋めるようにしたい。コミュニケーションは取れて来ているので、やれると思います」と、頼もしい表情を見せた。
 
 そしてタイ戦で右サイドバックとしてスタメン出場をすると、立ち上がりから激しい球際の攻防を見せて、ダブルボランチのポジションを常に視野に入れながら、サイドで蓋をするだけでなく、必要とあれば中に絞ってカウンターを警戒するポジションを取るなど、頭と身体をフル回転させた。

「結構相手は幅を使ってサイドに2、3人居るというシーンが多くあったので、そこでボールが逆サイドにある時に絞り過ぎないように、駆け引きをしながらやることを意識しました」
 
 タイの布陣は3−4−1−2の形で、両ウイングバックがカウンター時に高い位置に張り出し、2トップもワイドトップ状態になり、そこにフリーマンのトップ下の選手や、左ボランチの選手も関わって来る。石原のいるサイドは常に数的不利の状況を強いられたため、彼への守備の負担は相当大きなものになった。
 
 だが、「そのスカウティングは事前にあったので、やりづらさはなかった」と、試合前からできていた覚悟が、彼のプレーを気迫に満ちあふれたものにした。
 

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