イニエスタも脱帽した川崎のアタッキングサッカー!! 圧巻5発逆転劇のターニングポイントは?

2018年10月22日 江藤高志

3点を奪われた川崎がとった策は?

川崎は一時2点をリードされたが、システム変更を呼び水に逆転劇を実現した。(C) SOCCER DIGEST

[J1リーグ30節]川崎5-3神戸/10月20日/等々力

 今季29試合終了時点までにわずか21失点の川崎が、開始35分で3点を奪われる展開に驚かされた。先制点を手にしていたせいか、あまりに不用意な試合運びになってしまった。そのむずかしい局面を打開したのがフォーメーションの変更だった。
 
 小林悠と知念慶の2トップで臨んでいた試合はお互いの役割がはっきりしない分、やりにくさを感じながら進んでいた。当事者の小林は3失点したあと、フォーメーションの変更を鬼木達監督に相談しようと考えていた。そのタイミングでベンチも変更を用意しており結果的にピッチ内とベンチの意思が合致してフォーメーション変更が実現したという。
 
4−4−2から4−2−3−1への変更によりトップに入った知念が前線に残るタスクに専念。2トップの時と比べると、中盤に落ちてボールを引き出す役割を家長昭博が担うことで役割分担がはっきりした部分があったという。
 
 守備面では、アンカーの藤田直之の対応が明確化。これで中盤が安定した。
 
「(最初のフォーメーションだと)どうしてもアンカー(の藤田)が締まらなくて、あそこにオレと僚太が出ていっちゃうと、ポドルスキとイニエスタと三田が3人いる状態になるので。そこをちゃんとアキが蓋をしてくれることでオレらがやれたかなと」と話すのは中村憲剛。大島僚太とシステムについて話していたこともあり、システム変更を難なく遂行した。
 
 そもそも川崎はシーズンを通していくつかのフォーメーションを試しており、どの形にも自然に移行できるだけの準備ができていた。たとえば知念は「もともと何個かオプションを持っていたと思うし、2トップでハマらないと思って4−2−3−1に変えたと思います」とこの指示について述べている。
 
 フォーメーション変更後に、中央にポジションを移していた家長が大島の飛び出しからファインゴールで2点目を決めて反撃の狼煙を上げると、後半は完全な川崎ペースで推移。齋藤学の移籍後初ゴールが同点ゴールとなって等々力のボルテージが上がると、芸術的なパスワークから大島が4点目を奪いスタジアムの空気は沸騰した。空気は完全に川崎のものとなった。

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