「周りの声が入ってこなかった」久保建英が超絶FK弾の真相を語る! 2点差を追いつかれた展開にも言及

2018年10月20日 安藤隆人

「みんな周りでいろいろ言っていましたけど…」

先制点を絶妙なラストパスで演出し、圧巻のFK弾で決勝点。久保が初戦から存在感を見せつけた。写真:佐藤博之

 U-19アジア選手権・グループリーグ初戦の北朝鮮戦で、U-19日本代表のFW久保建英の左足から放たれたボールは、あまりにも美しい軌道を描いて、ゴール左隅に突き刺さった。
 
「みんな周りでいろいろ言っていましたけど、僕はその声が耳に入ってこないくらい集中していたので、なんか『入るな』と思っていた。基本的にあの位置からファーを狙っても入らないと思ったので、ニアを狙いました。入って良かったです」
 
 冷静だった。2−2で迎えた65分、直前に投入されたFW宮代大聖の素早い反転からFKを得た。ゴールから約25mの右斜め45度の位置。久保はゆっくりとボールをセットすると、周りの声が聞こえなくなるほど『ゾーン』に入っている自分に気付いた。そして、『入る』という確信を抱きながら、狙ったコースへ蹴ったボールは、意図通りゴールに吸い込まれた。
 
 開始早々の8分に自らのアシストでFW斉藤光毅の先制弾を生み出し、さらに19分にMF伊藤洋輝が目の覚めるようなスーパーミドルを叩き込んで2点のリードを奪ったが、その後にミスから2失点を喫して追いつかれるという嫌な展開だった。
 
 だが、久保はその流れをポジティブに捉えていた。
「2−0になった時に思っているほどではないにしろ、どこかにみんな気のゆるみがあった……。こう言い切る訳ではないですが、結果として2失点しているので、どうしても結果だけ見るとそうなってしまいます。でも、逆に『2−0で勝っている時で良かったな』というのが自分の意見で、あれがもし1−0の場面でやられてしまっていたら、試合をひっくり返されて、相手が一気に引いてしまって相当難しい試合になっていたと思います」
 
 だからこそ、あのFKが生まれた。この前向きなメンタリティを持っていたからこそ、あの張りつめたシーンでゾーンに入ることができた。
 
 このゴールで勢いがついた日本は、宮代、MF安部裕葵の途中出場の2人が終盤に立て続けにゴールを奪って、終わってみれば5−2の大勝。貴重な先制弾をアシストし、勝負を分ける決勝弾を叩き込んだ久保は、間違いなくこの試合のMVPだった。
 

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