盟主ゆえの憂鬱と苦闘…“連敗”バイエルンに何が起こっているのか!? 【現地発】

2018年10月18日 中野吉之伴

ドイツ・メディアは様々なニュースを流すが…

ボルシアMG戦では、ミスで失点し、チャンスを活かせず、前がかりになったところでトドメを刺され……近年では記憶にない、ホームで0-3の大敗を喫した。 (C) Getty Images

 バイエルンの調子が、何だかおかしい。
 
 最初はちょっとした躓きだと思われていた。ブンデスリーガ第5節のアウクスブルク戦、ホームで1-1の引き分け。だが、そのくらいはどんなチームでも、どんなシーズンでもありうることだ。すぐにまた勝ち出すと、サッカーファンは思っていた。
 
 ところが、6節のヘルタ・ベルリン戦、7節のボルシアMG戦と連敗……。
 
 ドイツ・メディアは、ニコ・コバチ監督と選手のあいだには、早くも亀裂が生じているとか、マヌエル・ノイアーが本調子ではないとか、ローテーションがうまくいっていないとか、様々なニュースを流す。
 
 4節までは、コバチ監督がロベルト・レバンドフスキを復活させたとか、レナト・サンチェスを甦らせたと持ち上げ、監督の手腕にもチームにも問題なんてあるはずないというテイストが強かったのに、だ。
 
 勝ち続ければ勝ち続けたで、「リーグの緊張感がなくなった」と言われ、負け出したら「クラブには問題ばかり」と言われる。どの国でも、「盟主」とはそういう立場にいるわけだ。
 
 では実際、どこに問題があるのだろうか。
 
 例えば、オフェンス面でアイデアに欠けるという指摘がある。代表チームのマネジャーであるオリバー・ビアホフは、「バイエルンの試合は、少なからずロシア・ワールドカップでのドイツ代表を思い出させた。ボール保持時間こそ長いが、そこからのチャンスが少ない」とコメントしている。
 
 確かに、コバチ監督はまず、チームの守備バランス向上に気を配った。特に、CBとボランチの位置取りには拘っている。センターの守備を固め、コンパクトなブロックを敷くことを求めた。状況に応じてプレスに行くが、昨シーズンまでと比べると、自陣で守備壁を構築する時間帯も増えている。
 
 前線の選手の、守備への貢献も絶対条件だ。コロンビア代表MFハメス・ロドリゲスは、そのあたりで新指揮官を満足させられず、定位置を奪えていない。
 
 サイドのポジションでは、期待されていたセルジュ・ニャブリが最近ようやく復帰したが、キングスレー・コマンは負傷で長期離脱。そのため、フランク・リベリとアリエン・ロッベンの両雄が、常時起用されている。
 
 2人のプレーは、今でもレベルは高い。だが、守備時に自陣深いところまで戻る頻度が明らかに高くなっていることが影響してか、攻撃時、ペナルティーエリア付近で精度の欠けるプレーが目立つのが気掛かりだ。
 
 守備に勤しむのは、現代のサッカーでは当たり前。どのクラブでも、どの国でも、それはメインテーマのひとつだ。だが、「どのように守るか」だけではなく、「どのように攻めるのか」が見えてこないと、選手のプレーは躍動しない。

次ページ中断期にチームを立て直そうにも選手がいない…

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