「正直、練習ではなにもできなかった」未完の大器、冨安健洋が見据える日本代表での“理想像”

2018年10月17日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「パナマ戦は自分としても驚きでしかなかった」

パナマ戦で出色の出来を披露した冨安だが、決して満足のいく10月シリーズではなかったようだ。地に足を付けて、しかと前方を見据える。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2018]日本 4-3 ウルグアイ/10月16日/埼スタ
 
 火曜日に埼玉スタジアムで行なわれた強豪ウルグアイとの一戦を4-3でモノにし、森保ジャパンは発足から見事に3連勝。圧倒されるのはその攻撃力で、3戦合計10得点という暴れっぷりだ。
 
 そんななか、今回の10月シリーズではひとりの新戦力が異彩を放った。U-21日本代表でもある19歳のCB、冨安健洋だ。
 
 10月12日のパナマ戦でA代表デビューを飾ると、強さ、高さ、そして巧さを存分に示し、チームのクリーンシート達成に貢献。とても新参者とは思えない冷静沈着ぶりで、海外メディアからも高い評価を得た。
 
 しかし当の本人は、しっかりと足元を見定めている。出番のなかったウルグアイ戦のあと、浮き沈みの激しかった今回の9日間を振り返った。
 
「正直、今回は練習のなかで自分の良さがまったく出せなかった。それが試合(パナマ戦)では思ってたより自分のプレーが出せたので、驚きでしかなかったです。それくらい練習ではなにもできなかった。つまるところは自分の問題。シンプルにメンタル的な部分もあるんでしょうけど、代表で戦ううえで十分な力があったのかと訊かれたら、『はい』とは言えない。実力があれば、どんなメンタルコンディションでも水準のプレーができると思う。そういうレベルにまで成長しないといけない」
 
 自己評価はかなり厳しい。

 
 ウルグアイ戦はベンチで戦況を見守った。相手のエースであるエディンソン・カバーニのプレーを見て、どんな守備対応をイメージしていたのだろうか。
 
「やっぱりフィジカルが強くて、激しく寄せてもしっかりボールを収めていた。僕は強い相手、大きい相手とやる時は、近づきすぎないようにしているんです。これまでの経験として、行き過ぎるとクルっと入れ替えられてしまうことが多かったので。あまり行き過ぎず、かと言って空け過ぎず、しっかり下から腰を落として対応する。そこを意識しているので、自分だったらそういうやり方もあったのかなと思います」
 
 かなり深みを持って観ていたようだ。そしてこう締めくくった。
 
「パナマ戦である程度のプレーができたのは、やはりベルギー(シント=トロイデン)でやっていたからだと思うんです。いつも試合が終わるたびに、課題と成果を振り返ってやっている。チームではレギュラーが確約されているわけではないので、また帰ったら、練習からしっかり取り組んでいきたいと思います」
 
 どこまでも謙虚な19歳は、そう語って前を見据えた。周囲がいくら騒ぎ立てても浮かれず、マイペースを貫きながら、みずからの理想像へと着実に歩を進めていく。
 
取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

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