【小宮良之の日本サッカー兵法書】 ウルグアイ戦で示すべきは個の力よりもチームとしてのカラーだ

2018年10月16日 小宮良之

チームとしてはまだ褒め称えられるものではない

最初に迎える大一番、ウルグアイ戦を前に準備に余念がない森保ジャパン。過去2戦で輝いた選手の活躍だけでは勝てない難敵だけに、現在の日本にとってはうってつけのカードだ。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 新たに発足した森保ジャパンは、ロシア・ワールドカップにも出場した中米の雄、コスタリカ、パナマを相手にいずれも3-0での勝利という、良い船出を飾ることに成功した。
 
 いずれも相手は主力が欠けていた部分はあったものの、その条件は日本も変わらない。ロシアW杯の主力を外し、多くの若手を登用しながら、完勝を収めたのだ。
 
 森保一監督は刷新を図っている。ロシアの主力の平均年齢は上がり、長谷部誠、本田圭佑も代表引退を発表している。
 
「若返り」
 
 それは急務となっているのだ。
 
 コスタリカ、パナマ戦は、ピッチに立った選手たちが、攻守ともに力の差を見せつけた。コスタリカ戦では、中島翔哉が左サイドでプレー全体を動かし、相手DFを子ども扱いしている。ポルトガルで自信を身につけ、持ち前のスキルを操れるようになった。
 
 またパナマ戦では、南野拓実がゴールに向かう迫力を見せている。オーストリアで経験を積み重ね、球際での強さ、スピードが向上。相手をはねのけ、ゴールに突き進み、冷静にシュートを打てるようになった。
 
 このふたり以外にも、多くの若手が能力の片鱗を見せた。しかしながらその一方で、チームとしてのプレー内容は、まだまだ手放しで褒め称えられるものではない。
 
「若い選手たちが与えられたチャンスに発奮し、恐れず溌剌とプレーし、ホームで思い存分に暴れた」
 
 それが実像で、士気の高さ、コンディションの良さによって、相手を上回った。極東までやってきて、長旅と時差による疲労を漂わせる選手の集団を一蹴した、ということに過ぎないだろう。
 
 パナマ戦では、目を覆うようなボールロストのシーンがあった。前線の動きが少なく、出し手が行き詰まってボールを失う。取り返しても、再度失うという場面もあった。
 
 しかも、トランジション(攻守の切り替え)の準備ができていないため、相手にカウンターを発動されている。無失点で終わることができたのは、単純にパナマの拙攻に助けられたからに過ぎない。

次ページ良い叩き台となるウルグアイ戦

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事