古豪ウルグアイはいかにして蘇生したのか…71歳の名伯楽が熱く明かした「復権への一大改革」

2018年10月16日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

約15分間に渡って熱く語られた母国サッカーへの想い

日本サッカーへのリスペクトも示したタバレス。71歳のいまも、その情熱に陰りは見えない。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 いよいよ今夜19時半、埼玉スタジアムで日本代表とウルグアイ代表の火蓋が切って落とされる。両者の対決は、2-0でウルグアイが勝利した2014年9月以来4年ぶりとあって、チケットも即刻完売とファンの期待度は高い。

 無論、ファンがそこまでの期待を抱くのは、やはり相手が"南米の雄"ウルグアイであるからだろう。先のロシア・ワールドカップでもベスト8に食い込んだ実力派集団。今回の来日メンバーもまさに豪華絢爛だ。

 エースストライカーのルイス・スアレスが、奥さんの出産立ち合いのために招集外となったものの、エディンソン・カバーニ、フェルナンド・ムスレラ、ディエゴ・ゴディンという欧州トップリーグで活躍する面々に加え、ロドリゴ・ベンタンクールやフェデリコ・バルベルデ、ルーカス・トレイラといった20代前半の若き逸材たちも名を連ねている。

 そんな精鋭たちを束ねているのが、御年71歳となる指揮官オスカル・タバレスだ。

 1988年に始まり90年のイタリア・ワールドカップで幕を閉じた第1次政権。それから16年後の2006年に復権し、第2次政権が発足してすでに12年の歳月が流れた。今年9月には2022年6月までの契約延長にサインしたばかり。その情熱と探求心に陰りは見えない。

 日本戦の前日15日に行なわれた会見で名伯楽は、知識の深さと熱意を垣間見せた。「私は日本サッカーの進化を見続けてきた」と話したうえで、ウルグアイ・サッカーの進化とその強さの秘訣について15分間に渡って論じたのである。貴重な言葉だけに、あえて全文をそのまま、お送りしたい。

「一昔前のウルグアイ・サッカーというものは強くはなく、国際大会から遠ざかる時期があった。さらに昔のウルグアイはそんなことはなかったんだ。1924年と1928年のオリンピックで優勝をし、1930年と1950年にはワールドカップを制したが、その後は世代間の繋がりが途切れ、継続的に勝てなくなった。

 そうしたなかで、我々はどうすれば、ウルグアイをもう一度世界の舞台に引き戻せるのかを考え、2006年にユース世代に重点を置いたプロジェクトを始動させた。それは単にサッカー選手を育てるの目的としただけでなく、若い選手たちに人間として総合的な教育を施すことを重要視したものだ。そして、それまでのただタフなスタイルを脱するために、クリーンな戦い方も我々は細かく指導した。

 そのプロジェクトを始めたことで、ほぼ90%以上の確率でウルグアイはユース世代の国際大会に出場できるまでになり、メキシコやフランスと渡り合うまでに力を付けた。今回招集しているデ・アラスカエタやラクサール、ベンタンクールといった選手たちは、そのプロジェクトによって育まれた選手たちだ。

 そしてA代表も着実にFIFAランクを上げ、ワールドカップのような大きな大会でも成果を残し、ゴディン、スアレス、カバーニ、ベンタンクールといった多くの選手たちは、エリートが揃う欧州サッカーでプレーしている。我々は高いレベルの競争力があるチームへと生まれ変わった。今後もそれは続けていく」

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