【横浜】ルヴァン杯決勝進出&残留争い脱出に導く“クローザー”喜田拓也の真実

2018年10月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

本人は「華もあるわけじゃないし」と小さく言うが…

ルヴァン杯準決勝第2レグの鹿島戦では61分から途中出場。直後に失点するなど難しい展開だったが、攻守のバランスを最優先したプレーでチームの決勝進出に貢献した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯準決勝第2レグ]横浜2-2鹿島/10月14日/ニッパツ
 
 リーグでは残留争いに巻き込まれている横浜だが、27節の磐田戦から3連勝を達成し、順位を一気に10位にまで上げた。良い流れのままで挑んだ鹿島とのルヴァンカップ準決勝では、アウェーでの第1レグは2-1の勝利、続くホームでの第2レグは2-2と引き分け、1勝1分の成績で決勝に進出した。
 
 9月下旬から上昇曲線を描き、怒涛の巻き返しを披露するチームにおいて、ひとつの傾向が見て取れる。
 
 クローザー、喜田拓也の存在。
 
 冒頭の計5試合で喜田はすべてに途中出場し、勝利に貢献。直近の鹿島とのルヴァンカップ準決勝第2レグは引き分けだったが、チームはファイナルに駒を進めているだけに、ここでも貴重な働きを見せたと言ってもいい。
 
 喜田が途中からピッチに立てば、勝利の確率はグッと高まる。そんな見方もできるだろう。ただ逆に考えれば、一時期は先発に定着していた喜田が、現時点ではベンチスタートを余儀なくされているということでもある。
 
 当然ながら、喜田は現状に満足していない。
 
「もちろん、スタートから出たいし、それはプロとして当たり前のこと。ただただ、自分の力が足りないだけ。そこは素直に受け入れて、力強く前に進むだけ」
 
 4-3-3システムの逆三角形の中盤で、2枚のインサイドハーフは大津祐樹と天野純、アンカーは扇原貴宏がスタメンを務める。喜田は「すごく良いプレーをしている彼らをリスペクトしているし、お互いの信頼関係もある」と話す一方で、「自分も(スタメンで)出て、やれる自信はあるし、あるべきだと思う」と言葉に力をこめる。
 
 今は、5分なのか、10分なのか、15分なのかは分からないが、チャンスを与えられれば、「やれることを全部、精一杯やる。見てくれている人は見てくれているはずで、信頼を勝ち取っていかないといけない。不貞腐れるつもりはまったくない」というスタンスだ。
 
 喜田は自らを「分かりづらい選手」と言う。本当にそうだろうか。攻守にエネルギッシュに動き回り、献身的に味方をサポートし、攻撃にも意欲的。元同僚の金井貢史(現・名古屋)からは「ハマのカンテ」と評価されるように、そのハードワークぶりは十分に"分かりやすい"ストロングポイントで、大きな魅力だと個人的には感じるが、本人は「華もあるわけじゃないし」と小さく言う。
 
 もし喜田の自己評価が真実だとすれば、限られたプレータイムのなか、先発を勝ち取るためには自分を思い切りアピールする必要があるだろう。攻守両面であれもできる、これもできると、欲張りにプレーに絡もうとするのもひとつの手だ。

【ルヴァンPHOTO】横浜 2-2 鹿島 横浜が鹿島と引き分けるも、17年ぶりの決勝進出!
 

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